西田天香の孫、託す思い 「私が高齢になったこともあるが、これからの時代に合った方向を目指してほしいというのが、退任を決断した大きな理由です」 「一燈園」を創始した思想家・西田天香(1872~1968年)の孫として「一燈園」の代表である「当番」を半世紀以上務めた西田多戈止(たかし)さん(94)は4月に退き、世代交代を図った。 ベストセラー『懺悔の生活』 「一燈園」は財産の無所有と奉仕生活を実践する団体で、宗教法人格は持たない。 天香が北海道開拓事業に失敗した挫折を機に1904(明治37)年、滋賀県の愛染明王堂にこもったのが始まり。1913(大正2)年に京都市左京区鹿ヶ谷に修養道場を設立し、1929(昭和4)年に現在地に移った。天香の著作『懺悔(ざんげ)の生活』は広く読まれた。作家・倉田百三も一時入園し、その体験を基にした『出家とその弟子』はベストセラーになった。戦後、参議院議員も務めた。 新