誰もが疑問を抱かない、株主の議決権行使の現状に筆者は異論を唱える。機関投資家などの事例も交えながら、株を取り巻く権利について考える。 経済学者や法学者はどう考えるか 株主総会の季節になると、株主による議決権の行使は社会正義にかなっているのだろうかという疑問を持ってしまう。 こう考えるのは、一部の機関投資家の議決権行使に疑問を感じることがあるからだ。法律によって株主に議決権が与えられているのだから株主による議決権の行使は正当な権利の行使であり、疑問の余地はないと考える読者も多いだろう。 しかし私は、株主の議決権の正当性に問題が残されていると思っている。とりわけ最近のように機関投資家の所有比率が高まっているときには、議決権行使の正当性という問題はきわめて複雑な問題を生み出していると考えるだ。 そのためにまず、なぜ法律では、株主に議決権が与えられているのかという基本的な問題から考えてみよう。つま