高層ビルの一室は張り詰めた空気に包まれていた。「介護は大変な仕事だけど、つらい時はどうしますか」。若い女性が緊張で手を震わせながら答えた。「何があっても我慢します」 採用に壁、焦る日本 ミャンマーの最大都市ヤンゴンで行われた技能実習生の面談。長崎県から来た社会福祉法人関係者は、女性12人を面接し、5人に「合格点」をつけた。いずれも地元の日系企業ジェイサットコンサルティング(JSAT)が育成した介護労働者の卵だ。 2025年、日本の介護現場は38万人の人材不足に陥るといわれる。国民の平均年齢が27・9歳と若く、仏教の教えで高齢者の世話を「功徳」と考えるミャンマーは、有望な人材供給国だ。15年から介護人材育成事業を手掛けるJSATには、日本各地の施設から続々と採用の相談がくる。 ところが、西垣充社長(46)には大きな悩みがある。せっかく育てた人材が、次々に「逃げる」のだ。「シンガポー