今からおよそ100年前、ヘンリー・フォードは世界で初めて自動車の量産をはじめた。それまで、自動車は富裕階級向けの特別な商品であり、ほとんどが注文生産だった。顧客は大きさや色をはじめ、様々な自分の好みをつけて注文する。メーカーはそれを受けて、個別に設計して製造する。当然ひどく高くつく。それでも買える人だけが顧客だった。ほとんど今の注文住宅のようなものである。 そのようなマーケットの常識を、フォードは完全にくつがえした。彼は黒色のT型フォードという、ただ一つの標準モデルを売ることに決め、そのための専用量産ラインを、当時としては画期的だった工程別分業体制とベルトコンベア方式によって実現した。この時に彼が言った、 「顧客の望む色はどんな色でも売ります--それが黒色である限り」 という、有名な文句は一種の標語となった。モデルを一種類にしぼり標準化をはかることで大量見込生産を可能とし、安価な製品で大き
<設計部品表(E-BOM)と製造部品表(M-BOM)の乖離> BOM再構築の課題の中でも、もっとも多く見られる悩みが「設計部品表と製造部品表の乖離」だ。ふつう、前者はEngineering BOMを略してE-BOMと呼び、後者をManufacturing BOMの略でM-BOMと呼ぶ。 設計部品表(E-BOM)とは、設計部門が作成する部品表のことで、最終製品を構成する全部品をリストアップしたものである。製品の構成図(断面図)の各部品に①②③・・といった番号をつけ、その右側に番号・部品名称のリストをつけたものを、誰しも見たことがあると思う。この部品構成リストがE-BOMの原型である。 たとえば、『冷し中華』という製品を考えてみよう。冷し中華一人前は、図1左に示すように、茹で麺・たれ・錦糸玉子・チャーシュー細切・きゅうり細切から組み立てられる。 機械・電気など組立加工系の業種におけるE-BOM
数年前、三菱電機から依頼を受けて、「e-F@ctory」という同社のWebサイトに、BOM(部品表)に関する文章を書いた。今はそのurlはリンク切れになっており、同社のサイトを検索しても見つからない。サイトのリフォームにともない、この種の一般解説的文章は削除されたのだろう。そこで、当時の文章を、一部ブラッシュアップして、ここに再掲することにする。内容的に、とくに古くなってしまった部分も見あたらないと思う。製造業におけるBOM(部品表)の構築と改善は、いつでも古くて新しい課題なのである。なお、ここでは分量の関係で2回に分けて掲載する。 <今、なぜBOMが問題なのか> 不況の長いトンネルを抜けて、いま日本の製造業は元気を取り戻しつつある。そして多くの企業で、この機会に生産全体のあり方を見直したい、という気運が高まっているようだ。 製造業とは、物品(マテリアル)を産出・加工し、付加価値をつけて販
最近、拙著「BOM/部品表入門 (図解でわかる生産の実務)」の重版の知らせを出版社から受け取った。累計7,400部になるらしい。発刊が2005年初頭だから、8年間かかってやっとこれだけの数字だ。でも、ビジネス書は3千部売れれば及第点のレベルと言われから、まあまあの部類ではあるだろう。多くの方に受け入れていただけたことに、感謝したい。それに、編集担当の方によると、8年以上もの期間にわたってジワジワ売れ続けるのは、こうした分野では珍しいらしい。 それにしても、最近、あらためてBOMが関心を集め直しているのではないか、と感じることがある。今年は二回もBOMに関して講演の依頼を受けているし、本書の増刷もある。もっと驚いたのは、数ヶ月前だが、電車ですぐ隣の人が「BOM/部品表入門」を読んでいたことである。本は何冊か書いているが、初めての体験だ。思わず、「著者ですが」と挨拶をしてしまった(^^;)。相
さる3月30日、浜松市にて開催しました「プロジェクト&プログラム・アナリシス研究部会」と「関西IT勉強宴会」の合同シンポジウムにおける講演のビデオ画像が、関西側幹事の佐野さんのご尽力で公開できることになりました。佐野さん、ありがとうございます。 URLは以下の通りです(講演順) (1) <求む!上流工程技術者> セールスフォース・ドットコム 佐野初夫さん http://www.youtube.com/watch?v=VwniHOlDvAI (2) <3D-CADデータの一気通貫とIT活用でものづくり力向上を!> 関ものづくり研究所 関伸一さん →必見です! http://www.youtube.com/watch?v=Wt_pAwXzthw (3) <製造業のプロジェクトにおけるボトルネック ~BOM/部品表の問題~> 日揮(株) 佐藤知一 http://www.youtube.com/w
組立型生産管理システムのレファレンスモデル「CONCEPTWARE/生産管理」の実装版OSSの開発が快調である。お正月休みを経て「BOM(部品表)プロセッサ」が完成したのだが、これは生産管理システムの心臓部と呼ぶべき重要かつ高度なモジュールだ。これが無事完成したということは、開発基盤(XEAD Driver)が持つ要件対応力の高さを示す一定の証しでもある。一山越えた気分でひとり祝杯を挙げたのであった。 「BOMプロセッサ」には、品目、部品表、工程表といった生産基本情報の保守機能が含まれる。ただし、今回の元ネタである「CONCEPTWARE/生産管理」の基本設計においては「フィーチャ・オプション」による品目拡張仕様の管理方式がとられている。したがって、部品表や工程表をフィーチャオプションコードによってマスキングできるようになっていて、BOMプロセッサとしての仕様としてはより複雑である。 プロ
「仕様書によるアプリの動的制御」を実現したOSSプラットフォーム「XEAD Driver」を使って、生産管理システムの開発を進めている。その複雑膨大な仕様の中から、生産管理システムに関する有用な知識をときどき紹介したい。今回は、品目毎の仕様のバリエーションを表すための工夫である「フィーチャ・オプション」について取り上げよう。 ■有効期間で構成を切り替える 工場で新製品が企画されて同じ仕様でずっと製造されることは稀で、さまざまな理由で仕様変更がなされる。これを「改版(かいはん)」という。改版にともなって、部品表や工程表の一部が切り替わることがある。これらの生産基本情報と改版とをどう統合するか。それは生産管理システムの設計課題のひとつだ。 同一製品向けに部品構成を適宜切り替えるためによく用いられるやり方が、部品表への「有効期間」の組み込みである。モデル1では、品目Aに関してBとCとDが構成品と
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