「いじめ自殺」を巡り、学校や教育委員会の不適切な対応が後を絶たない。10年前に大津市立中2年の男子生徒(当時13歳)が自殺した事案をきっかけに「いじめ防止対策推進法」が作られたが、遺族らの意向を尊重する仕組みが十分に整っていない実態が毎日新聞のアンケートで明らかになった。我が子を失った悲しみに追い打ちをかける事態になりかねず、法の不備や形骸化を訴える声も出ている。 「第三者委員会は本当に中立で公正なのか」。2018年1月、名古屋市立中1年の長女華子さん(当時13歳)が自殺した際の調査について斎藤信太郎さん(49)は疑問を投げかける。 市教委は当初、学校のアンケートを基に「直接的な自殺の要因を特定できない」としたが、遺族の要望を受けて同年5月、常設の第三者委で調査を始めた。メンバーは市内の精神科医ら6人。斎藤さんは市教委の意向が強く反映されることを懸念し、「遺族推薦の弁護士を入れたい」と要望