周知のように去る2010年10月16日、日本考古学協会(以下、協会)の兵庫大会が明石市で開催され、協会の理事会が長い期間かけて準備、提案した、日本考古学協会の所蔵図書を、英国セインズベリー日本藝術文化研究所に一括寄贈する案が否決された。私自身、個人的に協会の国際化や蔵書問題に深い関わり合いを持ってきた。そこでこれまでセインズベリーへの寄贈を推進してきた立場から、今回の問題について、反対派への反論も含めて発言しておきたい。 私が最初に協会の国際化にかかわったのは、すでに20年前に遡る。1991年2月に恩師の一人、米国のピーター・ブリードさんから協会の会員になりたいと相談されたことが発端だ。その際、協会の入会資格が「日本人及び日本在住の外国人とする」という規約が存在し、たとえ日本考古学が専門であっても、海外在住の外国人には会員資格がないことを知り愕然とした。そこで私は協会に対して外国人研究者に