いま少しずつ、映画の上映やテレビドラマの放送などが再開されてきているところだが、これまでの期間、数多くのリモートで制作された作品が世に出てきた。そのなかで筆者がもっとも心を震わせられたのが、“中五島中学校合唱部OB”による「手紙 〜拝啓 十五の君へ〜」のリモート合唱。これは、映画『くちびるに歌を』(2015年)で中学生を演じていた、恒松祐里ら元生徒役の者たちによるもの。それぞれがステイホーム期間中に自宅で練習を重ね、およそ5年ぶりに“中五島中学校合唱部”がその成長した姿を見せてくれたのだ。 なぜ、心を震わせられたのか? それはもちろん、本作の大ファンであるというのがまず一つ。新垣結衣演じる不器用な教師と生徒たちの心の交流、若者たちの成長や友情、家族愛をも描きながら、やがて到達するクライマックスでの合唱シーンは何度観ても涙が止められない。 かつて、そんな生徒を演じていたのは、恒松祐里、下田翔