智弁和歌山高校が新チーム結成後、公式戦無敗を誇っていた大阪桐蔭を破って優勝を決めた春季高校野球近畿大会。その会場となった和歌山県・紀三井寺球場には、紺色のTシャツを着用した大学生たちが球場内外で動き回る姿があった。胸には『WAKAYAMA』の文字。 「ウチの部員が、高校野球の近畿大会のお手伝いさせてもらうんです。選手らもね、実はすごく楽しみにしているんですよ」 大会の数週間前、国立和歌山大学の硬式野球部・大原弘監督から聞いた話だ。高校野球の大会運営に地元の大学生が携わるのは全国ではあまり例がない。これまでも近畿大会の取材を重ねてきたが、これまでは連盟の関係者やボランティアスタッフが運営をサポートしてきた。だから新鮮な驚きがあった。 国立和歌山大の「ノーサイン野球」 2年連続3度目の全日本大学野球選手権大会に出場を決めた和歌山大は、国立大学ながら、近畿圏の大学野球をけん引する存在だ。創部は1