安保法制に反対するなど従来の指標では左派とみなされる思想的位置に立つ井上達夫氏。しかし、「憲法九条削除」を唱えるなどその言説は従来の左派とは全く異なる。井上氏は本来のリベラリズムの立場から左派、リベラル派の欺瞞を徹底的に批判。戦争責任の追及について左派、リベラル派が述べる「ドイツは誠実で日本は不誠実」という言説について井上氏が解説する。 * * * 実は世界史を広く眺めても、自国の戦争責任を認め、他国に謝罪し、賠償した例はほとんどない。そうしたなか、国として誠意を見せた数少ない例が日本なのである。 1995年、自社さ連立政権の村山内閣時代にアジア女性基金(正式名称「財団法人女性のためのアジア平和国民基金」)が設置され、1996年から2007年まで、民間からの募金により各国の元慰安婦に対して1人当たり原則として200万円の「償い金」が支払われた。 重要なのは、その際、橋本龍太郎、小渕恵三、森