9月22 春木育美『韓国社会の現在』(中公新書) 9点 カテゴリ:社会9点 帯には「隣国の苦悩は、日本の近未来だ」との言葉があります。人によっては「日本のほうが先に豊かになって先に高齢化しているんだから日本こそが韓国の近未来では?」と思うかもしれませんが、本書を読むと、良くも悪くも韓国が先に進んでいる部分があり、日本と似たような問題に、より厳しい形で直面していることがわかると思います。 0.92という先進国の中でも圧倒的に低い出生率、高齢者の貧困問題、ジェンダー・ギャップなど韓国はさまざまな問題を抱えていますが、同時に大胆な対策も取られています。ただし、その大胆な政策がうまくいくとは限らず、むしろ副作用に苦しんでいる面もあります。 本書はそんな韓国社会の取り組みを明らかにすることで、同時に同じような問題に直面する日本に対するヒントも与えてくれる内容になっています。韓国社会を知りたい人はもち
何のために日本へ旅立ち、韓国・北朝鮮で何をなしとげたのか? 留学生たちの激動の歴史 近代日本のエリート養成所であり、朝鮮独立運動の水源地でもあった 帝国大学で学んだ朝鮮人たちの足跡がはじめて明らかにされる 韓国のベストセラー歴史書 ▼1945年の解放以降、大韓民国の樹立にさまざまな人々が参加した。そのうち左右を問わず、近代日本のエリート育成装置であった帝国大学に留学した朝鮮人は欠かせない存在であった。彼らの多くは帝国日本の官僚として服務し、帝国の先端知識や官僚の経験を元手に、1945年の解放後も韓国と北朝鮮の行政、経済、司法、知識体系に大きな影響を及ぼした。もちろん帝国大学に留学した全員が出世をねらう官僚になったわけではなかった。急進マルクス主義の洗礼を受けて変革運動に飛び込んだ人物もいたし、世俗的な成功と時代の制約の間で葛藤し、学問の道に進んだ人物もいた。 彼らは解放後の大韓民国の社会に
3月9 波多野澄雄『「徴用工」問題とは何か』(中公新書) 7点 カテゴリ:歴史・宗教7点 さまざまな問題を抱えている日韓関係ですが、その中でも特に厄介なのが本書がとり上げている「徴用工」問題でしょう。従軍慰安婦や韓国人被爆者の問題は、日韓基本条約で解決できなかった「例外」として捉えることも可能ですが、日本にとって「徴用工」の問題は、まさに日韓基本条約で解決したはずの問題だからです。 本書は、その「徴用工」問題に対して、日本の植民地支配の実情と「徴用工」の位置づけ、日韓基本条約締結交渉でのこの問題の取り扱い、2018年の韓国最高裁の判決のロジックという3点に注目しながら論じたものです。 著者は『幕僚たちの真珠湾』、『国家と歴史』(中公新書)などの著作がある日本近現代史の研究者で、「韓国(朝鮮半島)のことについてどの程度わかっているのか?」という疑問を持つ人もいるかもしれませんが、「あとがき」
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