沖縄・尖閣諸島沖の中国漁船衝突をめぐる映像流出事件で、第5管区海上保安本部(神戸市)では12日深夜、取り調べを受けていた神戸海上保安部の海上保安官(43)による「異例の記者会見」に向けた準備が進んでいた。だが、直前になって中止に。その裏には、アジア太平洋経済協力会議(APEC)や政権への影響を懸念する海上保安庁の意向があったようだ。 海保関係者によると、5管では、12日の取り調べを終えた後、保安官をいったん帰宅させる方針だった。その際、報道陣が自宅周辺に押しかけないことを条件に保安官が記者会見を開くことを検討。帰宅時の警備を兵庫県警に依頼するなどの調整を進めた。捜査当局は逮捕していないのに事実上の拘束状態が続くことを懸念し、保安官本人も帰宅を望んでいたという。 しかし、同日夕になって状況は一変。幹部は「(調整は)長引きそうだ」と説明。保安官は聴取が終わった後も帰宅する様子はなかった。