われわれが暮らす21世紀の現代社会では、俗に『BullShitJobs』(=どうでもいい仕事、クソ仕事)と呼ばれる、やっている本人ですら「必要ない」と感じるような仕事が増え続けている。 経済学の巨人ケインズが1930年に「技術の進歩によって、100年後(2030年)には週15時間(だけ)働く時代になる」と予想したにもかかわらず、実際にはまるでそうなっていない。むしろ、以前には存在しなかった「クソ仕事」(=仕事のための仕事)が次々に登場している、という話だ。 いきなりだが、ここでビッグ・クエスチョンを投げかけたい。経済学に基づくさまざまな施策は、なぜ「意味のないクソ仕事」を減らせなかったのか? ──完璧に答えるのは難しいが、ここでは一つの仮説を提示したい。筆者の見立てによれば、その答えは「経済学は、生物学的ファクターを考慮していなかったから」である。 人間は動物だ。経済学はホモ=エコノミクス