連載<続・砂上の安全網>③(全3回) 桐生市の生活保護制度の運用をめぐる問題は、第三者委員会が始動し、4月3日には利用者2人が市を相手取って国家賠償請求訴訟を起こして実態解明に向けた段階に入った。新たな証言やデータから、同市の生活保護行政が再生できるのかを問う。
「生活保護費を1日1000円に分割して支給し、基準額の半額程度しか渡さない」、「生活保護決定後も長期にわたり保護費を渡さない」、「利用者の印鑑を計1948本保管し、本人の同意なく押印していた」、「職員に恫喝されたり、暴言を吐かれた」等、数々の違法行為・人権侵害が発覚した群馬県桐生市。 今年2月に発足した「桐生市生活保護違法事件全国調査団」(団長:井上英夫 金沢大学名誉教授)は、3月4日、桐生市に公開質問状を提出。3月末に回答書を受け取りました。 桐生市の生活保護行政に関する公開質問状(PDF) 桐生市の生活保護行政に関する公開質問状に対する回答(PDF) 「調査団」は桐生市の回答を分析した上で、4月4日~5日に現地での調査活動を展開。5日には桐生市長、群馬県知事、桐生市が設置した第三者委員会の座長あてに「要望書」を提出しました。 桐生市では、2011年度からの10年間で生活保護利用者数と保
桐生市の生活保護費支給の問題点について報告する反貧困ネットワークぐんま事務局の町田茂さん=群馬県桐生市中央公民館で2024年4月4日、遠山和彦撮影 群馬県桐生市が生活保護費の支給で不適切な対応をしていた問題で、桐生市生活保護違法事件問題全国調査団(団長・井上英夫金沢大学名誉教授)は4日、同市内で報告会を開催した。受給者が市の窓口で相談員から「お前は税金で飯を食っている自覚があるのか」「生活保護は他の自治体で申請しろ」などと威圧的な対応をされた事例が新たに報告された。また、同市が警察OBを生活保護担当の部署に非常勤嘱託職員として採用し、専門外の就労支援に当たらせていたことも判明。調査団は5日、県や市などに改善を要望する。【遠山和彦】 会で報告した「反貧困ネットワークぐんま」の町田茂さんによると、1月にフリーダイヤルで同市の生活保護支給について情報を募ったところ、窓口で相談員に威圧的な態度で申
群馬県は22日、桐生市による生活保護制度の運用について、特別監査を実施していることを明らかにした。県議会一般質問で酒井宏明氏(共産、前橋市)が県の対応をただしたのに対し、唐木啓介健康福祉部長が答弁した。県地域福祉推進室によると1月16日に開始し、現在も継続している。桐生市に対しては今回が初めてという。 特別監査は、全ての福祉事務所へ年に1回行う一般監査と異なり、制度の運用に問題があったり、各種データから保護の動向に特異な傾向があったりする場合、都道府県や政令市が実施する。関係職員への聞き取りや書類の調査などを通じ、改善の必要があると認めた場合は福祉事務所に報告を求める。 桐生市では昨年11月以降、保護費を1日1000円に分割した上で決定額満額を支払わないなど、違法性が高い不適切事例が次々と明らかになった。また、同市は生活保護受給者数が2011年度の1163人から22年度には547人と半分以
2015年7月、群馬県桐生市に住む黒田正美さん=仮名=の携帯電話が鳴った。声の主は同市福祉課の職員だった。 当時、黒田さんは30代後半。父の杉本賢三さん=仮名、当時(61)=と市営住宅で同居していたが、結婚で独立し、杉本さんは単身生活を送っていた。駆け付けると、ライフラインは全て止められ、石油ストーブの燃焼筒に外で拾い集めた木くずを入れてマッチで着火し、わずかに残ったコメを煮炊きしていた。窮状を見かけた近所の住民が市へ通報したのだという。 杉本さんは料理人として働いていたが、心臓疾患などによる体調悪化で就労困難な状態が続いていた。黒田さんは市福祉課に相談したが、「家族で支え合って」「実家に戻りなさい」と相手にしてもらえなかった。同年8月、杉本さんはやむを得ず市内の実家で暮らす妹、黒田さんにとっては叔母の家に身を寄せる。
「生活保護費1日1000円」や「ハンコ1944本」などの衝撃的な事実が次々に明らかになっている、群馬県桐生市の生活保護行政。桐生市の生活保護率は2011年をピークに異常としか思えないほどにその数を減らし、却下・取下げ件数の多さも注目されている。果たして、なにがあるのか。生活困窮者の支援活動を行う『つくろい東京ファンド』の小林美穂子氏が語る。 「生活保護費1日1000円」「生活保護費全額不支給」「DV被害者に保護決定後も不支給」「ハンコ無断押印」「預かったハンコ1944本」などなど、叩けばきりなくホコリが出てくる群馬県桐生市の生活保護にまつわるすさまじい実態は、その後もとどまることを知らない。 最近では業務委託をしていない民間団体に受給者の金銭管理を委託し、若い受給者に長期間2週間14,000円のみ支給していたケースも発覚した。 あまりに前代未聞な桐生市福祉課の不適切・違法対応は、世間に衝撃
不適切な生活保護費の支給が問題となっている群馬県桐生市が、20代の男性受給者に市との委託契約関係がない県内の民間団体を紹介し、保護費の管理を委ねるよう勧めていたことが分かった。男性と契約した団体は通帳と銀行印を預かり、保護費全額を渡さず、一部だけを月2回男性が自由に使える口座に振り込んでいた。専門家は「保護費を公的団体ではなく、権限がない第三者が預かる運用は通常あり得ない」と指摘する。(小松田健一)
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桐生市が生活保護受給者らから預かったとされる認め印の一部=群馬県桐生市で2023年12月18日午後4時44分、大澤孝二撮影(画像の一部を加工しています) 群馬県桐生市は18日、生活保護受給者などの認め印を1944本預かり、書類に押印していたと発表した。認め印は生活保護を担当する福祉課に保管しており、このうち資料が残っている2018年度以降を調査したところ、86世帯の通知書などについて本人の了解を得ずに課員が押印していたことが判明したという。市は「遠方で資料を取りに来られない場合などに使用した」と説明している。 同市によると、認め印を預かり始めた時期は不明で、受給者からの預かり証なども存在しなかった。同姓の印を使い回していた可能性があるほか、既に死亡している人のものも含まれているとみられ、本人に返却できない状態という。
群馬県桐生市が生活保護利用者の50代男性に対し、原則として1日1000円しか支給しなかった問題を巡り、別の50代男性も今年6~10月に週払いで分割支給を受け、1カ月当たりの総額は支給決定額の半分程度にとどまっていたことが分かった。2人を支援する仲道宗弘司法書士は「最低限度の生活を侵害する運用が、日常的だった可能性がある」と指摘した。 仲道氏によると、新たに判明した男性は病気で就労困難となり、5月26日に月額約7万1000円の支給が決まった。しかし、桐生市は金銭管理のため家計簿を付けるよう指導した上で、支給は週に1回1万円程度。6月は約3万1000円、8月は4万1000円など決定額の半分程度にとどまった。
前橋市の障害者施設運営会社が運営する伊勢崎市連取町の有料老人ホームで、全従業員が一斉に退職届を出し、入居者24人全員が近隣施設への移転を余儀なくされたことが29日までに、関係者への取材で分かった。従業員側は「会社側の不適切な人員配置が続き、サービス維持が困難になったため」とし、賃金の未払いもあったとして民事提訴を検討すると説明。一方、同社は「突然利用者を移され、損害賠償請求も含め検討している」と対立している。 ◎施設運営側「足りていた」 届け受理せず 関係者によると、施設は昨年12月上旬まで24人が入居し、入居者に対して訪問介護サービスも提供していた。施設が同月下旬までに入居者全員を近隣施設などに移した上で、同31日に施設長をはじめパートを含む全従業員9人が退職届(今月31日付)を出した。 群馬県の有料老人ホームの設置運営指導指針によると、施設内の要介護者25人に対して常時1人以上の職員配
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 外国人
児童養護施設などを出て就職や進学をする子どもたちを支援しようと、前橋市は自動車教習所と協力して、車の運転免許をとる費用を全額補助する取り組みを今月から始めました。 前橋市などによりますと、児童養護施設などを出た子どもが就職する場合、赤い羽根募金などが、免許をとる費用の3分の2を補助する制度がありますが、進学する場合は全額自己負担となっていました。 免許をとるには30万円余りかかるため、取り組みでは赤い羽根募金などの補助に加え、免許の種類によって7万円から13万円余りを教習所が、残りを前橋市がふるさと納税を財源に補助するということです。 今年度の対象者は12人で、前橋市は合わせておよそ90万円の費用を見込んでいます。 前橋市の児童養護施設「地行園」の高橋悦史園長は「群馬で就職するには車の運転免許は必須なので支援は本当にありがたい」と話していました。
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