卸売業や不動産業など、これまで小売業と取引してきたBtoB(企業間取引)企業が、デジタルやデータを活用して小売店の支援に乗り出している。 キーワードは「情緒」だ。卸売業でも消費者のデータを取得し、消費者に向けて自ら広告などを配信する企業が出てきている。一例が食品卸大手の三菱食品だ。 「情緒的価値を創造できる卸売業に挑戦する」。三菱食品の小山裕士執行役員マーケティング開発本部長はこう意気込む。情緒的価値とは消費者が商品を購入することによる幸福感やワクワク感などといった精神的な価値を意味する。
「日本初のAI(人工知能)タレントCM」として話題になった伊藤園「お~いお茶 カテキン緑茶」のCM。前編では、AIタレントを生み出す過程やバズった契機などを紹介した。後編では、AIタレントを生み出す苦労や難しさ、CM制作にAIを使うメリットや可能性などを関係者に聞く。 2011年に、人間そっくりのバーチャルアイドル「江口愛実」が誕生。江崎グリコ「アイスの実」のCMでAKB48と共演して話題になった。当時は、そのCG技術の高さに驚きの声が上がるとともに、人間に近づけば近づくほど嫌悪感を抱く「不気味の谷現象」も取り沙汰された。 それから12年の間に“谷”を越えるほど進化したのが、AI技術だ。23年は、大日本除虫菊(金鳥、大阪市)が画像生成AIを活用して「キンチョール」のCMを制作。パルコ(東京・渋谷)はナレーションや音楽にもAIを使い、話題をさらった。そんな「AICM元年」に、「日本初のAIタ
近未来に生きる白髪交じりの女性が、軽やかな足取りでカメラに近づき、ペットボトルのお茶を差し出す。受け取ったのは、若さあふれる現在の彼女。お茶を飲んで笑顔になった彼女に、「未来の自分を、今から始める」というナレーションが重なる…。「日本初!AIタレントをCMに起用」として話題になった、伊藤園の「お~いお茶 カテキン緑茶」のCMだ。このCMはどのようにして生まれたのか。 「もともと当社には特定保健用食品の『カテキン緑茶』という商品がありました。それを『お~いお茶』ブランドの1つとしてポジショニングしたほうが分かりやすいだろうと、2022年9月26日に、『お~いお茶 カテキン緑茶』として新発売。23年9月4日に、茶葉の生命力を最大限に引き出すために、生成AIを活用した革新的なパッケージデザインでリニューアル発売しました」(伊藤園広告宣伝部の上條裕介氏) CMのメインターゲットに据えたのは、30~
明治大学 総合数理学部 宮下芳明研究室(以下、宮下芳明研究室)、株式会社NTTドコモ(以下、ドコモ)、H2L株式会社は、宮下芳明研究室とH2Lが研究開発した味覚を再現する技術と、ドコモが開発した「人間拡張基盤」を連携し、相手の感じ方に合わせた味覚を共有する技術を開発した。 今回開発された技術は、味覚に関するデータを把握する機器(センシングデバイス)と、味覚の感度に対する個人差を推定し共有する「人間拡張基盤」、味覚を再現する駆動機器(アクチュエーションデバイス)の3つで構成されている。 具体的には、伝えたい味をセンシングデバイスで分析・数値化したものと、共有する相手の味覚の感じ方を、約25項目のデータをもとに人間拡張基盤上で独自アルゴリズムを用いて推定し、それらをアクチュエーションデバイスを通じて、相手に伝えたい味を再現する。 アクチュエーションンデバイスは、味の基本となる五味(甘味、酸味、
― 作業員の負荷軽減、より付加価値の高い業務へのシフト、商品・サービスのさらなる品質向上を図る ― ― 2025年の工場での稼働を目指す ― サントリーホールディングス(株)は、開梱、計量、品質確認、タンクへの投入など、工場における原料の取り扱い業務の自動化を目指し、12月より技術検証を本格的に開始します。11月に構築したサントリー九州熊本工場内の技術検証設備にて、より生産現場に近い環境で検証を進めることで、技術開発を加速させます。 サントリーグループの生産現場ではさまざまな原料を取り扱いますが、梱包形態や大きさの違いから自動化が難しく、人手に頼らざるを得ない状況でした。また重い荷物の取り扱いも含むため、作業員の負担となっていました。 今回、共同で自動化技術の開発に臨んできた(株)安川電機とともに、AIを用いて単一の装置でさまざまな大きさや梱包形態の原料を取り扱う技術の検証を開始します。
困難だった“食べ歩き用プリン”開発 ChatGPTに解決を託した、とある乳製品メーカーの話 【プロンプト実例付き】(1/2 ページ) AIチャット「ChatGPT」と一緒に、“食べ歩き用プリン”を開発した──乳製品メーカーの山村乳業は、そんな発表をした。一体どのようにChatGPTを活用したのか、話を聞いた AIチャット「ChatGPT」と一緒に、“食べ歩き用プリン”を開発した──乳製品メーカーの山村乳業(三重県伊勢市)は10月30日、そんな発表をした。「山村ぷりんバー」と呼ばれるこの商品は、まるで棒付きアイスのような見た目だが、中身は正真正銘のプリン。「ただ棒を刺しただけでは?」と思うかもしれないが、その開発は困難であったという。
JR東日本が駅ナカなどに設置しているタッチパネル式の「イノベーション自販機」について、順次サービスを終了すると発表しました。自販機自体も撤去していくとのこと。なぜ終了に至ったのか、その理由を取材しました。 イノベーション自販機(以下、画像はacure pass公式サイトから) イノベーション自販機はタッチパネル式になっているだけでなく、アプリ「acure pass(アキュアパス)」と連携してさまざまな独自サービスを提供しているのも特徴。例えば、“サブスク”形式で毎日ドリンクが購入できたり、アプリ内で事前購入ができたりする他、ドリンクのプレゼントにも対応していました。 タッチパネルで購入できました しかし、2023年10月以降、順次自販機とacure passのサービスを終了していくと発表。すでにアプリでの商品購入や定期商品の新規購入、更新などは終了しています。2024年3月31日には、ドリ
常温の缶から“飲食店の生ビール”が提供できる業務用新ビールサーバー「nomiigo(ノミーゴ)」 10月5日(木)からテスト展開開始 ― 樽生ビールサーバー導入が困難であった飲食店で、一杯一杯“あけたて”のうまさを提供 ― サントリー(株)は、常温の缶から“飲食店の生ビール※1”が提供できる業務用新ビールサーバー「nomiigo(ノミーゴ)」のテスト展開を、10月5日(木)から開始します。 ※1 口あたりのよいクリーミーな泡と適正な温度を実現したビール 近年、ライフスタイルや価値観の変化とともに、お酒に対する向き合い方も多様化が進んでいます。実際に新型コロナウイルス感染症拡大前に比べると、カフェやファストフード店などさまざまな場所でお酒の飲用意向は高まっています※2。また、飲食店に行く機会をより貴重なものと捉え、飲むお酒にも高い品質を求める、といった動きがある※2こともわかりました。一方で
噴射液を収めている20の味タンクは各タンク1,000段階で制御でき、1那由他(10の60乗)通りの味の組み合わせが可能。またアルカリ性物質の添加による中和や、味覚修飾物質の活用や、他の味によるマスキング効果の利用で元の食品から特定の味を薄める「味の減算」もできる。0.02ml単位の細やかな味制御が可能で、ワインやカカオ、梅干しなど、産地や品種の微妙な味の違いまで再現できるという。 「TTTV3」にはさらに、ChatGPTなどに用いられている大規模言語モデル(LLM)と連携可能な対話システムを追加。マイクで料理名を指定する音声入力や、料理の画像をカメラにかざす画像入力を行うと、LLMが味を推定して調味を行う。例えば、市販のハンバーグをセットし、旅先で食べたハンバーグの画像をカメラに読み込ませると、LLMがハンバーグソースの味を推定して思い出の味を再現するという。 宮下研究室では「味覚はメディ
伊藤園は8月28日、9月に発売する「お~いお茶 カテキン緑茶」のパッケージデザインに画像生成AIを活用したと発表した。同様の取り組みは同社初。「中身だけでなく、外観も時代に合った魅力を伝えられる製品開発に努める」(同社)という。 画像生成AIサービスは、商品パッケージのリサーチやデザインを手掛けるプラグ(東京都千代田区)のものを活用。商品デザインに特化したAIサービスの先行試用版で生成した画像を参考に、デザイナーが一から作り直したという。 AI活用のデザインは500ミリリットル、1リットル、2リットルのペットボトルに加え、パウダータイプの「お~いお茶 カテキン緑茶 スティック」で採用。「茶葉の生命力を現したもので、従来のデザインとは一線を画す鮮やかな色彩と抜群の視認性を最大限に引き出したデザインをあしらった」(伊藤園)としている。 関連記事 AIが生成した絵画が、アニメ「BEASTARS」
サッポロホールディングス(HD)は社員一人ひとりが抱える業務課題の解決や新規事業に向けて自ら提案、実践する場「DXイノベーション★ラボ」(以下DXラボ)を2023年5月30日に始めた。 「ボトムアップでDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進する場合、手を動かして実践できる場が必要だ」。サッポロHDの主要企業であるサッポロビールで全社DX推進の旗振り役を務める牧野成寿取締役執行役員はこう語る。DXラボはサッポログループの「全社員DX人財化」を推進する土台となる人材育成プログラムの一環で、サッポロビールも全社で取り組んでいる。 AWSジャパンやマイクロソフトなど16社がパートナーに DXラボは、サッポログループの企業に勤める社員全員が参加できるオープンイノベーションの場(プラットフォーム)だ。身の回りの業務改善から新規事業まで、デジタル技術を使って実現したいアイデアを提案できる。グルー
日本フランチャイズチェーン協会とデジタル庁は2023年6月27日に会見を開き、コンビニエンスストアでのマイナンバーカードの利活用拡大で協定を締結した。マイナンバーカードを事前に読み取って年齢認証に使えるアプリを新たに開発し、セルフレジや無人店舗で酒類やたばこを販売する実証などを行う。 同協会でCVS部会長を務めるセブンーイレブン・ジャパンの永松文彦社長と河野太郎デジタル相が協定書に署名をした。協定に基づき、協会に加盟するコンビニ業界は酒類やたばこ販売に向けた年齢認証用アプリを共同開発し、デジタル庁が開発費などを支援する。アプリはマイナカードから事前に情報を読み取り、店舗ではバーコードで年齢情報を表示する。 協定書に署名した、日本フランチャイズチェーン協会CVS部の永松文彦部会長(セブンーイレブン・ジャパン社長、写真左)と河野太郎デジタル相(写真右) アプリを使う年齢認証は、ソフトウエアの改
サッポロビール(株)は、ビールやRTDの出荷における「AI需要予測システム」を 7月1日から本格的に運用開始します。 この「AI需要予測システム」は、日鉄ソリューションズ(注1)の支援を受けて開発したシステムで、商品発売の約16週間前から需要予測を開始し、その後も受注状況や販売状況などを反映しながら、出荷量を予測します。これまで“人が担っていた”需要予測を“人とAIが協働する”ことで、在庫を最適化し、お客様のニーズにより迅速にかつ柔軟に応えることができるサプライチェーンの構築につなげます。 2022年10月からデータ分析・試験モデル作成に着手し、2023年3月までの6カ月間で、ビールやRTDの限定品などを中心に、約40アイテムでAIの機能検証をしてきました。検証開始当初は人の予測精度に敵わなかったAIも、学習を重ねることで、検証終了時点には人だけの予測精度よりも人とAIが協働した予測精度は
「(既存商品の特徴である)しょっぱさを強めるという商品コンセプトを入力すると、通常は清涼感を与える際に使うフレーバーをAI(人工知能)が提案してきた。人間では考えもしない原料だ」。こう驚きを表現するのは、サッポロビールで新商品のコンセプト開発などを担当するマーケティング本部ビール&RTD事業部の岩佐拓幸アシスタントマネージャーだ。 AIが提案した原料はそもそもしょっぱいものではない上、過去にサッポロビールが商品をしょっぱくする目的で使ったことはなかったという。だが試作品を作って飲んでみると「確かにしょっぱくなった」(岩佐アシスタントマネージャー)。 サッポロビールは日本IBMと共同で、「N-Wing★(ニュー・ウィング・スター)」と呼ぶ商品開発AIシステムを開発した。同システムの利用対象は、購入後そのまま飲める、缶チューハイなどのアルコール飲料である「RTD(Ready to Drink)
サントリー「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」 “発芽大麦”を配合し甘香ばしくリニューアル! ChatGPTを使っていたらやさしい麦茶宣伝部の“AI部長”が誕生! AI部長に振り回された結果、CMがとんでもない方向へ... 声優・白井悠介さんが逆立ちして踊って空を跳ぶ!! 新CM「やさしい麦茶、発芽大麦入りました。」篇 6月6日(火)よりWEB上にて公開!一夜限りでTV-CMもOA! 白井さんとAI部長は息がぴったり!?裏側を語る対談インタビューも サントリー食品インターナショナル(株)(以下サントリー)は、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」の新CM「やさしい麦茶、発芽大麦入りました。」篇を6月6日(火)よりWEB上で公開。また、一夜限りでTV-CMもOAいたします。 本CMは、「GREEN DA・KA・RA やさしい麦茶」がリニューアルを行い、独自に開発した“発芽大
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