それから、これだけはいっておきたいが、アラブの自爆テロは絶対に我々の言う特攻隊ではない。特攻隊は決して無辜の人を狙ったのではない。特攻隊は狂信者じゃない。本当に悩み、悲しみ、迷いながら、自分の親、兄弟を守るために死んでいったんだ。それでなければ納得できない。(1)一体どの程度まで「信仰に狂えば」、自らの命を犠牲にして敵を攻撃することが出来るようになるのだろうか?本来ならば、そこが明らかになって初めて僕たちはその人を「狂信者」と名指すことが出来る(または逆に「狂信者ではない」と言及することが出来る)。けれども多くの場合人は、「自らの命を犠牲にして敵を攻撃する」人間を単に「狂信者」と呼んでいるだけである。自爆攻撃行うアラブ人も、特攻を行った日本人も、第三者(例えばアメリカ)からすれば「狂信者」だと等しく括られている。それが「狂信者」という語に関する一般的な語用論的事実である。 一見、石原慎太郎