自動車メーカー・マツダの技術の代名詞とも言われるロータリーエンジンが11年ぶりに復活します。 かつて、燃費の悪さから生産が終了したエンジンが、なぜ復活することになったのか?そこには発想の大きな転換とエンジニアの執念がありました。(広島放送局記者 児林大介)
空中に浮かび上がる画面を指で操作して支払いができる「非接触」の技術を使った無人レジの実証実験を、コンビニエンスストア最大手が始めることになりました。コロナ禍で接触を避けるニーズが高まる中、買い物客や従業員の感染リスクの低減などにつなげるねらいです。 コンビニ最大手のセブン‐イレブン・ジャパンは来月から東京都内の6つの店舗で空中ディスプレーとよばれる「非接触」の技術を使った無人レジを新たに導入し実証実験を始めます。 このレジは ▽専用の装置を使って客の目の前に画像が浮かび上がる仕組みになっていて ▽赤外線センサーで指の動きを認識することで空中の画面を操作でき ▽クレジットカードやスマートフォンを使い、端末に一切触れずに支払いができます。 実証実験はディスプレーの開発企業や化学メーカーなどと共同で進めるもので、コロナ禍で接触を避けるニーズが高まる中、買い物客や従業員の感染リスクの低減などにつな
さまざまな電子機器に使われる「ネオジム磁石」と呼ばれる強い磁石を、人工知能=AIを使って製造の条件を改良し、さらに強い磁石を作り出すことに物質・材料研究機構が成功し、AIを使った材料開発の事例として注目されています。 「ネオジム磁石」は、小さくても強い磁力を持つことからスマートフォンや電気自動車、それにエアコンなどさまざまな電子機器に使われている重要な部品です。 物質・材料研究機構の佐々木泰祐主幹研究員などの研究グループは、製造の際のデータをAIに学習させ、強い磁石にするために必要な要素を検討させました。 その結果、製造装置から磁石を押し出す際の温度と圧力が磁石の性能に重要であることが分かり、製造条件を改良しておよそ1.5倍強いネオジム磁石ができたということです。 AIを使って材料開発を行うことは「マテリアルズ・インフォマティクス」と呼ばれて近年、研究開発が加速していて、今回の成果もこうし
青色LEDの開発に成功し7年前にノーベル物理学賞を受賞した名城大学終身教授の赤崎勇さんが1日、亡くなりました。92歳でした。 赤崎さんは現在の鹿児島県南九州市の出身で京都大学を卒業後、当時の松下電器の研究所を経て昭和56年に名古屋大学の教授になり、名古屋市にある名城大学の終身教授を務めていました。 赤崎さんは当初はほとんど見向きもされていなかった窒化ガリウムに注目し、青い光を出すのに必要な高品質の結晶を昭和60年ごろに作り出し、20世紀中は無理といわれた青色LEDの開発に初めて成功しました。 この成果によって赤・緑・青の光の3原色のLEDがすべてそろい、フルカラーのディスプレイなどさまざまな分野でLEDの実用化の可能性を広げました。 また、波長の短い青い色を出す技術はDVDなどの記憶容量を大幅に増やすことができるブルーレイディスクの開発にもつながり、大量の情報をやり取りする現代社会において
新型コロナウイルスに感染するリスクを減らそうと、ボタンを押す必要がない「非接触」のエレベーターが相次いで開発されています。 大手電機メーカーの日立製作所は、メッセージアプリのLINEを活用したシステムを開発しました。 乗り場に掲示されているQRコードを読み込んだ上で、現在いる階と行き先の階を指示します。 すると、エレベーターが呼び出され、ボタンを押さなくても自動的に行き先の階に移動します。 このほか、ゲートに設置されたカメラで乗る人の顔を識別し、行き先の階を自動的に指示するシステムもすでに販売しています。 日立ビルシステムの加藤審吾主任技師は「お客さまに対して安全で快適なシステムを提供するためにタッチレスは非常に有効だ」と話しています。 また、三菱電機が開発したシステムはスマートフォンの専用アプリで行き先の階をあらかじめ登録しておくと、1階の乗り場に近づくだけで無線通信でエレベーターを呼び
大手自動車メーカーのホンダは、「レベル3」と呼ばれる高度な自動運転の機能を搭載した乗用車を、今年度中に販売することになりました。高速道路など一定の条件のもとですべての操作をシステムに任せるレベル3の実用化は、世界で初めてです。 自動運転は機能によってレベル1からレベル5まで5段階に分かれ、最近多くの車に搭載されている自動ブレーキや車線をはみ出さずに走る機能はレベル1や2とされています。 さらに1段階高度なレベル3は、一定の条件のもとであればハンドルやブレーキなどすべての運転操作をシステムに任せることが可能になる機能ですが、車の販売は実現していません。 こうした中、ホンダはレベル3のシステムを搭載した乗用車の「レジェンド」が安全基準を満たしているとして、国土交通省から「型式認証」を取得しました。 高速道路が渋滞しているか渋滞に近い状態で、速度50キロ以下で走行している場合などが条件となってい
ことしのノーベル化学賞に、生物の遺伝情報を自在に書き換えることができる「ゲノム編集」の新たな手法を開発したドイツの研究機関とアメリカの大学の研究者2人が選ばれました。 受賞が決まったのは、フランス出身でドイツのマックス・プランク感染生物学研究所のエマニュエル・シャルパンティエ所長と、アメリカ出身でカリフォルニア大学バークレー校のジェニファー・ダウドナ教授の2人です。 2人は「細菌」の免疫の仕組みを利用して、ゲノムと呼ばれる生物の遺伝情報の狙った部分を極めて正確に切断したり、切断したところに別の遺伝情報を組み入れたりすることができる、「CRISPR-Cas9」(クリスパー・キャスナイン)と呼ばれる「ゲノム編集」の画期的な手法を開発したことが評価されました。 「CRISPR-Cas9」は、それまであった「ゲノム編集」の方法に比べて簡単で効率がよく、より自在に遺伝情報を書き換えることができること
ノーベル物理学賞を受賞した天野浩教授らの研究グループが、無線で効率よく電力を送ることができる新たな技術を開発したと発表しました。 電線を使わず無線で電力を送る技術は、スマートフォンの充電器などで実用化されていますが、送ることができる電力量が少ないことや距離が短いことなどが課題となっています。 天野教授らの研究グループは、マイクロ波を使った新たな技術の開発に取り組んだ結果、送電する際の電力の変換の効率を、世界でもトップクラスの高さにすることに成功したほか、ノーベル物理学賞の受賞対象となった青色発光ダイオードの材料「窒化ガリウム」を使って、従来の3倍程度の電力を無線で受けることができる部品を開発したということです。 研究グループでは、再来年度までに10ワットクラスの電力を無線で送るシステムを確立させたいとしています。 実用化されれば、飛行中のドローンに電力を送ったり、電線のない場所でも、河川の
プラスチックごみによる海洋汚染が課題となる中、植物由来の樹脂で作られ、海の中でも分解されるレジ袋を愛媛県四国中央市の企業が新たに開発し、ことし7月にも販売を始めることになりました。 スーパーなどで配られる標準的なサイズで、重さ8キロの荷物を詰めて運べる強度をもち、海の中ではバクテリアによって180日以内に袋の9割以上が水と二酸化炭素に分解されます。 素材の配合割合や成形加工に独自のノウハウが使われ、現在、ベルギーの認証機関に海洋生分解の製品として申請しています。 認証されれば海の中でも分解されるレジ袋としては世界で初めてだということです。 早ければ、全国の小売店でレジ袋の有料化が義務づけられることし7月にも販売を始めることにしていて、価格は従来のレジ袋の7倍から10倍ほどしますが、すでに複数の企業から引き合いがあるということです。 福助工業の大野輝幸 営業業務部長は「海洋汚染対策に貢献し、
くずし字の解読は、文学や歴史学など「文系」の専門家の領域ですが、AIの開発は、日頃プログラミングやシステムの開発に携わる「理系」の研究者が得意とするところです。 そのうちの1人、国際コンペに参加した福岡県の土井賢治さんを訪ねました。土井さんはIT企業のエンジニアで、ネットオークションに出品された商品が本物か偽物かを、投稿された画像から判断するシステムの構築に携わっています。 くずし字は「存在を知っている程度」だったということで、みずから読むことはできません。そんな土井さんが今回のコンペに参加した理由を聞いてみると、意外なきっかけがあったことが分かりました。 「ラーメンの画像から店を当てるシステム」を応用できると考えたというのです。 土井さんは、SNSに投稿されたラーメンの画像がどこの店舗で出されたのかを、数万枚の画像データをもとにAIが予測するシステムを運営していて、ファンの間で人気となっ
日本の全面的な支援でインドネシアに初めて建設された地下鉄の完成を祝う式典が24日、首都ジャカルタで開かれました。 完成した地下鉄は首都ジャカルタ中心部の南北およそ16キロを結び、世界で最も激しいとも言われるジャカルタの渋滞の緩和につながると期待されています。 地下鉄の完成を記念した式典には、インドネシアのジョコ大統領や日本政府の関係者が出席しました。ジョコ大統領は「地下鉄の完成によって新たな文化がインドネシアで始まる」と述べました。 地下鉄は1200億円余りの円借款を活用し、日本の大手建設会社がインドネシアの企業と合同で最新の技術を使って建設を進めました。地下鉄の安全対策や運行を管理するいわゆるソフト面でも日本が支援をしています。 インドネシアではインフラ整備の需要が高いことから、日本としては今回の地下鉄を通じて日本の技術力や安全性をアピールし、新たな事業の受注につなげたい考えです。 地下
NECがアメリカ・シリコンバレーに去年、設立した子会社が、業界を驚かせました。企業のデータ分析の自動化をビジネスとするこの子会社のCEOを務めるのは、NECのトップ技術者。資金調達や人事など経営について高い自由度も認められ、NECの今後の成長を担うと期待された人材、技術の「ど真ん中」を切り離した格好だからです。背景にあるのが、グローバルな競争に勝ち残るための「スピード」でした。 Tシャツ姿がトレードマークの藤巻遼平さん(37)。NECがシリコンバレーに設立した子会社、「ドットデータ」のCEOです。実は「機械学習」の専門家で、4年前、33歳の時に、NECの研究者の中で1%にも満たない主席研究員の1人に、史上最年少で選ばれたトップ研究者でもあります。 実際にビジネスが動きだしてから半年あまりですが、藤巻さんは手応えを感じています。 「初め2ヶ月ほどは取引先に会ってすらもらえなかったが、最近はい
2400年以上前の古代ギリシャの貿易船が黒海の海底からほぼ完全な状態で見つかりました。形を保った世界最古の沈没船とみられ、当時の造船技術や交易の様子を知る貴重な発見だと注目されています。 調査チームによりますとこの形の貿易船は、当時のつぼなどに描かれた絵で知られていましたが、実物が形をとどめて見つかったのは初めてです。さらに形を保った沈没船としては世界最古とみられるということです。黒海の海底は酸素がほとんどなく木材が分解されにくかったため驚異的な保存状態につながったと考えられています。 ただ船はもろくなっている可能性が高いため、木材の一部を調査のために採取するにとどめ船全体を引き上げる計画はないとしています。 調査チームの代表は「当時の造船技術や、交易の様子について見方を変えるような発見だ」と話していて、世界的にも注目されています。
太平洋戦争中にナチスドイツから旧日本海軍に譲渡された「Uボート」と呼ばれる潜水艦が京都府沖の若狭湾で見つかりました。調査を行ったチームは戦時中の技術協力の実態を知るうえで重要な発見だとしています。 その結果、深さおよそ90メートルのところに旧日本海軍の潜水艦3隻を見つけ、撮影に成功しました。このうち1隻は艦首の特徴などから、ナチスドイツの「Uボート」で、旧日本海軍が「呂500」と名前をつけた潜水艦と確認できたと言うことです。 「呂500」は太平洋戦争中の昭和18年、技術協力の目的で同盟国のドイツから譲渡され、およそ90日間の航海の末、広島県呉市に到着しました。主に訓練に使われ、終戦のよくとし、アメリカ軍によって沈められ処分されました。 調査チームによりますと、全長70メートルある船体に大きな破損は見られず、ほぼ原型をとどめているということです。また、ほかの2隻は、南太平洋の戦いなどに参加し
「はやぶさ2」のプロジェクトチームで小惑星の撮影と分析を担当している東京大学の杉田精司教授は27日会見で「リュウグウ」について説明しました。 会見場のスクリーンには、色の補正をした「リュウグウ」のカラー写真が地球と比較する形で示され、杉田教授は「リュウグウは全体に黒い色をしているのがわかると思います。これは炭素を豊富に含んでいるということです。これが確認できたことは非常に大事です」と述べ、炭素を主な成分とする有機物の存在に期待感を示しました。
他人のパソコンを無断で遠隔操作して仮想通貨を得ていたとして、宮城県警察本部は2人を書類送検しました。 書類送検されたのは、東京都新宿区の24歳のIT企業の会社役員ら2人です。 このうち会社役員は、仮想通貨の動きを監視することで仮想通貨を得られるソフトを、自分が運営するアダルトサイトに組み込み、ほかの人がそのサイトを見ている間にそのパソコンを遠隔操作で無断で使って不正に利益を得ていたということです。 また、もう1人はオンラインゲームを有利に進められるよう改ざんしたプログラムの中に、仮想通貨を得られるソフトを組み込み、そのプログラムを使った人のパソコンを遠隔操作して利益を得たということです。 警察によりますと、書類送検された2人は容疑を認めているということです。 警察がインターネット上を監視するサイバーパトロールで発覚し、14日、全国10県の警察で16人を書類送検したということです。 2人が不
ホームページに特殊なプログラムを設定した上で、閲覧した人たちのパソコンを仮想通貨の獲得のために利用していたとして、神奈川県内の男ら2人が13日までに警察に逮捕されていたことが、捜査関係者への取材でわかりました。 捜査関係者によりますと、逮捕されたのは、神奈川県平塚市の荻野剛生容疑者(31)ら2人で、運営するホームページに特殊なプログラムを設定した上で、閲覧した人たちのパソコンを、仮想通貨の獲得のための「マイニング」と呼ばれる作業に無断で利用していたとして、不正指令電磁的記録供用などの疑いが持たれています。 「マイニング」は、インターネット上で行われる仮想通貨の取引の膨大なデータをコンピューターで計算しネット上に記録する作業で、誰でも行うことができ、対価として仮想通貨を受け取れます。 2人はそれぞれ確定申告などに関するホームページを運営し、同意を得ないまま閲覧者のパソコンをマイニングに利用し
伸び縮みして肌に直接、貼り付けられる厚さ1ミリほどの薄型ディスプレーを、東京大学などの研究グループが開発しました。 手の甲に貼り付けて、センサーが計測した心電図の波形を表示させたり、家族からの簡単なメッセージを受け取ったりするなど、さまざまな応用が考えられるということです。 ディスプレーは、ゴム製で小型の発光ダイオード、マイクロLEDが埋め込まれ、最も大きいもので、縦6センチ横10センチの画面に簡単なマークや動画を表示できます。伸び縮みすることから手の甲などに直接貼り付け体を動かしても違和感がないということです。 これを使えば、センサーが計測した心電図の波形を、自分の手の甲に貼り付けたディスプレーに表示させたり、家族などから送られてきた簡単なメッセージを見たりするなどさまざまな応用が考えられるということです。 染谷教授は「スキンディスプレーを使えば、お年寄りから子どもまですべての世代の人が
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