『みみずく古本市』(青土社 1984年) ビアズレーによる『イエロー・ブック』のデザインを模したカバーが衝撃的だった。そして何よりも、口絵には、白黒ではあるが、英文学を中心とした稀覯書の書影が掲載されていたのが印象的。いまでこそ、この種の紹介は珍しくないが、この本が出版された当時はまだ、書物の中に書物の写真が載っているという形態が新鮮だった。なかには、写真の天地が逆になっているもの(図版29)があるのもご愛嬌だし、書誌データは非常に貧弱ではあったが、かえってそれが探求心を刺激してもくれた。本文とは直接には関係のない書籍群なのだが、紙の書物がいまだ威光を放っていた時代、憧れを喚起するには十分だった。このなかの十点前後はその後自分でも入手することになった 内容的には、邦語・邦訳著作に関して、新聞や書評紙に発表された短い書評を集めたもの。そのために、一編はおおむね2, 3頁という短いものなのだが