礫川全次〈コイシカワ・ゼンジ〉のコラムと名言。コラムは、その時々に思いついたことなど。名言は、その日に見つけた名言など。 ◎曼陀羅国神不敬事件とは何か 戦中、日蓮門下の法華宗に加えられた宗教弾圧である「曼陀羅国神〈マンダラ・コクシン〉不敬事件」は、今日、ほとんど知られていない。本日は、小笠原日堂『曼陀羅国神不敬事件の真相』(無上道出版部、一九四九)の「はしがき」の全文を引用することによって、この事件の概略を紹介してみようと思う(九~一二ページ)。 は し が き 一九四一年七月八日、深夜沈深、唱題三昧裡、絶食既に七日、獄窓に端座して待つ、満願数時間後に迫る現世生命の最後臨終を。 ―昭和法難回顧録― 右は昭和十六年、奇しくも日本敗亡の戦争と同年に起つた日蓮聖人曼陀羅国神不敬問題に当り、軍閥政権の為め弾圧の的となつた所謂法華宗昭和法難事件に際し、死を以て解決せんとした私の獄中回顧録の一