ベトナム・ハノイ郊外にある外国人技能実習生訓練センター 途上国の人が日本で働きながら技術や知識を習得することで、途上国の経済発展に人づくりの側面から協力するという日本の「外国人技能実習制度」。しかし現実としてこの制度はすでに破たんしている。学んだスキルを母国で生かすケースは皆無で、それどころか、新たな実習生を日本に送り出すビジネスにかかわる人が圧倒的に多いのがその証拠だ。ベトナムをはじめとする実習生派遣国では「送り出しビジネス」が一大産業になるなど、奇妙な実態を生んでいる。 「実習を終えて母国に帰った人で、日本で習得した技能を使って仕事をする人はほとんどいない」。神戸大学大学院国際協力研究科の斉藤善久准教授(ベトナムの労働法が専門)はこう断言する。 斉藤准教授が札幌のアパレル工場で働く中国人労働者らを取材したところ、「中国に帰ったら技術を使って働きたい」と答えた人はゼロだった。「こんな高級