“甘口・辛口”について述べる前に、ちょっと考えてみましょう。 以前まであった特級・一級・二級、あるいは今ある特撰・上撰と言うような日本酒用語は、皆さんにどんな印象を与えていますか?おそらく前者は上中下といったランク、後者は素材とか造り方のこだわりみたいなものを感じさせていると思います。 それと似たように、消費者の目に見える日本酒の“甘口・辛口”という売り手側の表示も、どうやら言葉のイメージだけが先行しているようです。 本来“甘口・辛口”と言う表現は、日本酒度と酸度の数値によって分けられているのですが、消費者にはそういう分析値は専門的でとっつきにくく、ほとんど理解されていないといっても過言ではありません。 厳密には下の表からも判るように、たとえば酸度の違いによる“甘い・辛い”の分岐点は濃醇・淡麗という分別 も含めると、この二種類の斜線上にあるのです。つまり“甘い・辛い”は単に日本酒度だけを見