(#1より続く) 何の変哲もない縦長の白封筒に、極端に小さな文字で、封筒の右端ギリギリに住所、郵便番号欄の左端の下に私の名が書かれている。名前が大書してあるはずの封筒中央が空白という奇妙な封筒が今、手元に10通ほどある。 差出人は栗田良文、36歳。横浜拘置支所から送られてくる手紙には、便箋の端に赤い桜のスタンプが押されている。検閲済みの証だった。 「死ぬ」ことでしか、償いはできないのかな 栗田は2016年6月、電車内で酔った女性を自宅アパートに連れ込み、わいせつ行為をしたとして逮捕され、18年11月、懲役15年の一審判決を受けた。法廷で栗田は、犯行は「髪の毛」への執着によるものだと語り、裁判所が行った精神鑑定では「フェティシズム障害」という結果が出ている。 癖のある文字は読みにくく、慣れるまで判読不能のものもあった。最初の手紙にはこう認められていた。 〈今も被害者に言えることは少ないし、『