正月早々、人工知能や囲碁の関係者が震撼する出来事が起きた。世界最大級の囲碁対局サイト、中国の「野狐囲碁」に「Master」と名乗る謎の棋士が登場し、世界トップクラスの棋士を次々と打ち破っているというのだ。 Masterが撃破した相手は、中国の柯潔九段、韓国の朴廷桓九段、日本の井山裕太6冠など、各国の第一人者が含まれる。ネット上の対局なのですべて本人確認ができた訳では無いが、囲碁関係者の話によれば「プロ棋士側は本物」とのことだった。 2016年3月、囲碁AI(人工知能)の「アルファ碁」が韓国のトップ棋士、李世●(石の下に乙、イ・セドル)九段を破った。5番勝負でアルファ碁の4勝1敗という結果から、「すでに人工知能が人間を超えた」という認識が広まり、私自身もAIが人間を超えたという記事を書いた。 だが、なんだか釈然としない気持ちが残っていた。当時AIの実力は未知数で、李九段もアルファ碁を試すよう