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  • ガザ戦争でアメリカは信用を失い、EUは弱体化、漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」

    ハマスによる越境攻撃への報復として、イスラエル南部の境界付近からガザ地区を砲撃するイスラエル兵(11月6日) AP/AFLO <失われたアメリカの情報・判断力への信頼、民主主義国連合の亀裂。居直った中国ロシアがグローバルサウスを取り込み、世界の多極化を狙う> 今回のガザ戦争、その余波はどこまで広がるのだろう? 私見だが、悪しき地政学的展開が起きても、たいていは逆の好ましい力が働いて均衡を取り戻し、世界地図で見れば点のような場所で起きた出来事の余波が遠くまで広がることはない。危機や戦争が起きても、たいていは頭を冷やしたほうが勝つから、その影響は限定される。 だが例外はあり、今回のガザ戦争はそうした不幸な例外の1つかもしれない。 もちろん、第3次大戦の瀬戸際だと言うつもりはない。これが中東全域を巻き込む紛争に拡大するとも思っていない。 その可能性は排除できないものの、今のところ、レバノンのイ

    ガザ戦争でアメリカは信用を失い、EUは弱体化、漁夫の利を得るのは「意外なあの国々」
  • イスラエルはパレスチナの迫害をやめよ

    イスラエル軍の空爆を受け、犠牲者を探すガザ地区の住民(11月23日) REUTERS/Mohammed Salem <3000年来続く宗教対立という「物語」に思考停止させられてはならない。少なくとも建国以来、イスラエルはパレスチナから一方的に奪い続けてきた> 2023年10月、パレスチナのガザ地区を実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエル領内に侵入し、民間人や外国人を含む人々を1000人以上殺害し、少なくとも200人を人質にしたことを、きっかけに、イスラエルによるパレスチナへの攻撃が激しさを増している。ガザ地区に住むおよそ200万人の人々が、封鎖の強化によって料や水、電気の供給を断たれ、空爆によって死んでいく。市街戦も格化しそうな勢いだ。 この紛争を解説する日のニュースや新聞記事では、聖書の記述に基づく「民族対立」を、両者の対立の根源に置くものがみられる。イスラエルとパレスチナは3

    イスラエルはパレスチナの迫害をやめよ
  • 関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定する動きを憂う

    歴史的事実として認められた事件でも、日人の加害性を否定しようとする傾向に拍車がかかっている> 2023年の9月1日は、関東大震災からちょうど100周年の日になる。関東大震災は、地震や火災により10万人もの犠牲者を出した一方で、朝鮮人を中心とする、多数の人々に対する虐殺が行われた。その犠牲者は6000人ともいわれる。 しかしこの節目の年に至るまでの数年は、朝鮮人虐殺事件について意図的に風化させたり事実をねじ曲げようとしたりする動きが拡大した時期でもあった。また、朝鮮人虐殺だけでなく、公共の場から日の負の記憶を排除するニュースが最近は相次いでいる。今こそ、元ドイツ大統領ヴァイツゼッカーの「過去に目を閉ざす者は現在にも盲目となる」という言葉を思い出すべき時だろう。 小池百合子都知事の追悼文見送り問題 2016年に就任した小池百合子都知事は、2017年以降、それまでの都知事が行ってきた9月1

    関東大震災時の朝鮮人虐殺を否定する動きを憂う
  • ドイツでクーデター未遂を起こした極右テロ組織に、「ロシア関与」の疑いが

    警察に連行される極右組織のメンバー(カールスルーエ、12月7日) Heiko Becker-Reuters <クーデターを計画した極右組織のリーダーは今も一族が城を保有する貴族の家系。組織とロシアとの関係が疑われている> ドイツで政権転覆を企てたとして極右テロ組織のメンバーら25人が逮捕された問題で、同組織の活動にロシアが関与していた疑いが浮上している。ロシア政府は関係を否定しているが、貴族の家系で一族が現在も城や狩猟用の別邸などを保有している「ハインリッヒ13世」と名乗る男性がリーダーを務めるこの組織は、ロシア側と接触していたとみられている。 ■【写真】バート・ローベンシュタインにあるハインリッヒ13世の「居城」 ドイツ当局は12月7日朝、3000人以上を投入して強制捜査を行い、組織のメンバーとみられる25人を逮捕した。逮捕者には、組織のリーダーで「ハインリッヒ13世」を名乗る、71歳の

    ドイツでクーデター未遂を起こした極右テロ組織に、「ロシア関与」の疑いが
  • 中国の台湾侵攻は何ヵ月も前から秘密でなくなる──元CIA分析官

    China Won't Have Element of Surprise in Taiwan Invasion—ex-CIA Analyst <中国台湾侵攻はその規模の大きさゆえに国家的な準備が必要で、戦略的なサプライズをもたらすことはできない。アメリカ台湾が探す具体的な兆候の一部を挙げよう> 元CIAアナリストのジョン・カルバーは10月3日、中国が将来、台湾を侵攻するとしても、それは「戦略的なサプライズ」にはなりえない、と指摘した。台湾侵攻を開始するとなれば、それに先立って全国的な動員が行われるため、数カ月から1年前にそれとわかる可能性が高いと、彼は言う。 CIA に35年勤務し、2015年から18年まで同局の東アジア情報担当トップを務めていたカルバーによれば、アメリカの情報機関は、中国において、ウクライナ侵攻前のロシアのような、軍の全体的な増強に向かう気配は感じていない。それは中国

    中国の台湾侵攻は何ヵ月も前から秘密でなくなる──元CIA分析官
  • 貧困について書くと悪辣なDMが大量に届く この日本社会で

    ヒオカ/1995年生まれ。地方の貧困家庭で育つ。noteで公開した自身の体験「私が“普通"と違った50のこと――貧困とは、選択肢が持てないということ」が話題を呼び、ライターの道へ。“無いものにされる痛みに想像力を"をモットーに、弱者の声を可視化する取材・執筆活動を行い、若手論客として、新聞、テレビ、ラジオにも出演 <なぜそんなことを言ってくるのか。貧困家庭の子は「生まれてきてはいけなかった」存在で、進学やあらゆる人生の選択肢をあきらめなくてはならないのか。貧困家庭出身の女性ライターが「可視化したい」ものとは> 貧困をテーマにした記事が公開されると、多くの人から理解を得られる一方で、目も当てられないようなコメントがたくさん付く。しかし、無理解の根源は、悪意よりも、単にごく身近に困窮している人がいないことからくる無知にあるのかもしれない。 地方の貧困家庭に生まれ育ち、現在はライターとして活躍す

    貧困について書くと悪辣なDMが大量に届く この日本社会で
  • 打ち捨てられた人工衛星をハッカーが乗っ取る、「認証いらなかった」

    <かつて放送衛星として使われていた衛星をジャックし、北米全域に任意の映像を放送した> 米ラスベガスで8月14日まで開催されたハッカーの祭典「DEF CON(デフコン)」で、ハッカー集団が衛星の乗っ取りに成功したと発表し、その詳細な経緯を公開した。豪テックサイトの「マザーボード」が報じている。 乗っ取りを行ったのは、ハッキング愛好家集団「シェイディー・テル」のカール・コッシェ氏とその他のメンバーたちだ。休止したカナダの放送衛星をハイジャックし、実際に地上に向けて任意の映画を放送したり、ハッキングイベントの様子をライブストリーミングしたりしている。 米科学誌のポピュラー・サイエンスによるとコッシェ氏らは、80年代のハッキング映画『ウォー・ゲーム』を衛星放送として送波したほか、情報セキュリティ会議「ToorCon」での講演をライブ配信するなどしている。さらに帯域に余裕があったことから、 専用の電

    打ち捨てられた人工衛星をハッカーが乗っ取る、「認証いらなかった」
  • イスラエルにさえ拒否され逃げ場を失うオリガルヒ|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    Russian Oligarchs Are Running Out of Places to Hide Their Money <プーチン政権を支えてきたロシアの実業家や富豪は、制裁を避けるため豪華ヨットやプライベート・ジェットの隠し場所探しに躍起になっているが、逃避先はほとんどなくなった> ロシアウクライナ侵攻を受けて、プーチン政権を支えてきたロシアのオリガルヒ(新興財閥)に対して、欧米諸国は厳しい制裁を科している。資産凍結などの制裁から逃れるために、オリガルヒは他国への避難を画策しているが、これまで欧米とは同調せずに事態を静観していたイスラエルにも受け入れを断られた。 イスラエルのヤイル・ラピド外相は3月14日、スロバキアのイワン・コルコフ外相との共同会議で、イスラエルはオリガルヒの安全な逃避地にはならないと、明言した。 ラピドによると、外務省はイスラエル銀行、財務省、経済省、エネル

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    taron
    taron 2022/03/19
  • トンガ噴火の救援を妨げた「通信喪失」、海底ケーブル網の災害リスクとは|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <国内外をつなぐ唯一の海底ケーブルが断線し、通信手段を失うという悲劇が。世界は通信手段の多様化を探るべき> 南太平洋に浮かぶトンガ諸島で、海底火山の大規模噴火が起きたのは1月15日のこと。その後、トンガの住民と国外のコミュニケーションは数日間にわたってほとんど途絶えたままだった。 世界が密接に結び付く昨今の情報化社会にあって、地球上のデータのやりとりの約95%は海底に敷設された光ファイバーケーブルを通して行われている。この極めて重要なインフラが破損したり遮断されると、その地域はもちろん、世界的にも大惨事となりかねない。これこそが今、トンガで起きていることだ。 1989年以降、地球上の海底に張り巡らされた光ファイバーケーブルの長さは驚異の88万5000キロ以上に及ぶ。ケーブルは狭い回廊に密集しており、そのチョークポイント(難所)は火山噴火や海底での地滑り、地震や津波などさまざまな自然災害に対

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  • 今も闇に包まれた「マルコムX」暗殺事件...専門家が語る「疑惑」と「再捜査」

    当局はどうして暗殺事件の幕引きを急いだのか。2人の男性の無実を示す証拠をなぜ隠蔽したのか(演説するマルコムX、1963年) BETTMANNーGETTY IMAGESーSLATE <1965年の射殺事件で服役した男性2人の有罪が、昨年11月になって取り消しに。それでも残る数々の疑問について歴史家のザヒール・アリに聞く> ニューヨーク州の裁判所は昨年11月18日、半世紀以上前の黒人解放運動の指導者マルコムXの暗殺事件で、有罪判決を受けて服役した男性2人の有罪を取り消す決定をした。検察当局が再捜査の末、起訴の取り下げを申請していた。2人は80年代に仮釈放されたが、ハリル・イスラムは2009年に死去し、ムハンマド・アジズだけが存命だった。 マルコムXは、1965年2月にニューヨークのマンハッタンで射殺された。2人にはそのときのアリバイがあり、FBIとニューヨーク市警も無実を示す証拠を持っていた。

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  • アメリカで「狂犬病」感染が過去10年で最多に、最大の問題は「認識の欠如」|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <19年、20年と0人だったアメリカにおける狂犬病の症例が、21年には5人に急増。CDCはリスクを認識し直すことの重要性を訴える> 昨年、アメリカでコウモリを介した狂犬病の感染例が次々と報告された。9月28日~11月10日の6週間には、3人が死亡したと米疾病対策センター(CDC)が報告している。3人はアイダホ州、イリノイ州、テキサス州の子供1人と大人2人。すべて男性だった。 彼らは全員が発症の3~7週間前となる8月にコウモリと直接接触していたことが分かっており、発症から2~3週間以内に死亡した。CDCの報告書によれば、2件は「回避可能な(ウイルスへの)暴露」であり、うち1件については素手でコウモリを拾い上げていたという。 また3人とも、ウイルスに感染した可能性がある後に接種することで狂犬病の発症を防ぐことができる「暴露後予防(PEP)」を受けていなかった。CDCによれば、3人のうち2人は暴

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  • オミクロン株、再感染リスクはデルタ株の5.4倍=英研究

    新型コロナウイルスのオミクロン変異株による再感染リスクがデルタ株に比べ5倍以上高いことが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究から分かった。写真は11日撮影(2021年 ロイター/Dado Ruvic) 新型コロナウイルスのオミクロン変異株による再感染リスクがデルタ株に比べ5倍以上高いことが、英インペリアル・カレッジ・ロンドンの研究から分かった。 さらに、オミクロン株感染による入院リスクや症状について、入院に関するデータは限定的としつつも、「デルタ株と重度が異なる兆候は確認されなかった」と指摘した。 研究報告書は、ワクチン接種状況や年齢などの要因を考慮した上で、「デルタ株と比較し、オミクロン株による再感染リスクは5.4倍高い」とし、「オミクロン株の再感染に対する防御が最低19%程度にとどまる可能性を示唆している」とした。 研究は11月29日─12月11日にかけ、英国のPCR検査で陽性が

    オミクロン株、再感染リスクはデルタ株の5.4倍=英研究
  • 長期隔離実験で、火星移住には地球への反乱リスクがあることが判明

    「彼らは外部の統治機構からの完全な独立を図るかもしれません」...... e71lena-iStock <宇宙船での長期生活を模した複数の隔離実験において、クルー同士が団結し、管制室への反抗心を示す傾向がみられた。火星vs地球の構図も起き得る、と専門家は警告している> 宇宙開発は急速に進展しており、月あるいは火星への入植計画も現実味を帯びてきている。一方、技術の進展だけで補い難いのが人間の感情だ。閉鎖された宇宙船での長期の旅や、物資が限られた星での生活は、クルーの精神と共同生活に悪影響を及ぼす懸念がある。 こうした心理面・行動面での課題を洗い出すべく、ロシア生物医学問題研究所(IBMP)はNASAと共同で、クルーたちを人工的な閉鎖環境に置く模擬実験を行なっている。今年11月から、「SIRIUS-21」と呼ばれる8ヶ月間の長期隔離実験がスタートした。 実験に参加しているのは、ロシア宇宙飛行士

    長期隔離実験で、火星移住には地球への反乱リスクがあることが判明
    taron
    taron 2021/12/13
    独立戦争勃発… /共通の敵ができるから、クルーの団結力は上がるのかな。
  • もう出た!「オミクロン株は民主党のでっち上げ」米FOXニュース

    Fox Hosts Suggest COVID Variants Are Being Made up by Democrats <相変わらずの陰謀論に、著名人からは「もう右派系メディアを見るな」との呼びかけも> 南アフリカで確認された新型コロナウイルスの新たな変異株に対し、世界中で懸念が高まる中、アメリカの保守系ニュースチャンネルのFOXニュースでは、番組司会者らがこれは民主党によるでっち上げだと主張し、物議を醸している。 問題の発言があったのは、11月27日朝に放映された討論番組「フォックス・アンド・フレンズ」。司会者のレイチェル・カンポスダフィー、ピート・ヘグセス、ウィル・ケインの3人は、新種の「オミクロン株」を巡って再びロックダウンが行われる可能性について意見を交わした。 「ロックダウンの可能性について、またいたずらに議論が行われている」とケインは言った。「経済活動の制限についてもだ

    もう出た!「オミクロン株は民主党のでっち上げ」米FOXニュース
  • ワクチンが効かない?南アフリカ変異株「オミクロン」、悪夢のシナリオ

    オミクロン株はデルタ株よりはるかに感染力が強い上、免疫に関係するスパイクタンパク質に変異がみられる(写真はイメージ) Inok-iStock <ワクチン接種か否かでもめ続ける人類の前に新たな脅威。変異を続ける新型コロナウイルスとの戦いはまだ終わっていなかった> [ロンドン発]南アフリカで新たに見つかった新型コロナウイルス変異株(B.1.1.529系統)について、世界保健機関(WHO)は26日、デルタ(インド変異)株に続く5番目の「懸念すべき変異株(VOC)」に指定し、ギリシャ文字の「オミクロン」と名付けた。ボツワナや香港、イスラエル、ベルギーでも検出され、世界に広がるのは時間の問題だ。 日の国立感染症研究所によると、ウイルスの突起部(スパイクタンパク質)に32カ所の変異があり、感染性を高めるだけでなく、ワクチンや自然感染による免疫を回避する恐れがあるという。ロックダウン(都市封鎖)に逆戻

    ワクチンが効かない?南アフリカ変異株「オミクロン」、悪夢のシナリオ
  • 韓国の新規感染者数が初の4000人超え。日本とは何が違うのか?|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    <ワクチン接種率では同程度の韓国で感染が再拡大し、日では低くとどまっているのは、一つには、寒暖の違いのせいかもしれない> 日では新型コロナウイルス感染症の1日あたりの新規感染者数(以下、新規感染者数)が二桁まで減少していることとは対照的に、韓国では新規感染者数が爆発的に増加している。11月24日の新規感染者数は過去最大の4,115人を記録した。韓国で新規感染者数が4,000人を超えたのは初めてのことだ。 ■韓国における1日当たりの新規感染者数と累積感染者数の推移 出所)韓国疾病管理部ホームページから筆者作成 韓国の11月23日現在の新型コロナワクチン接種率は1回目が82.4%、2回目が79.1%で、日の78.6%と76.4%を上回っている。さらに、3回目の接種(ブースター接種)率も4.1%に達する。ワクチンの接種率は日とほぼ変わらないのに、なぜ韓国では新規感染者数が増え続けている

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  • クジラが食べるとオキアミは増える...海洋環境を支える「オキアミのパラドックス」

    べる量も驚異的なら、出す量も驚異的。個体情報の宝庫であり、多くの海洋生物の恩恵にもなるクジラの排泄物の奥深さに迫る> クジラはこれまで考えられていたよりも大量にふんを出している可能性があることが、科学誌ネイチャーのオンライン版に11月初めに掲載された論文で明らかになった。 研究チームはヒゲクジラ類の体にセンサーを取り付け、ドローン(無人機)で追跡。摂餌量(べる餌の量)を調べ、ふんの量を推定した。 これまでは胃の内容物や飼育下の個体を調べて摂餌量とふんの量を推定していたが、今回の調査でこれまで考えられていた量の約3倍のオキアミをべていることが分かった。べる量が多ければ、当然出す量も多くなる。 論文の執筆者の1人でスタンフォード大学ホプキンズ海洋基地の研究員マシュー・サボカは、ふんの量についてはまだ最終的な結論は出ていないと断りつつ、確実なことが1つあると話す。クジラが大量にふんを出

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  • インド首都圏、抗体保有率97%を突破 しかし「集団免疫とはいえない」と政府筋

    <ワクチンに加え、市中感染が押し上げたか。しかし現地は、集団免疫の判断に慎重姿勢を示す> インド当局は10月28日、デリー首都圏における新型コロナウイルスの抗体保有率を発表した。成人の97%以上が抗体を保有するという、極めて高い水準となっている。デリー首都圏のサティエンドラ・ジャイン保健相が記者会見の場で明かした。 この数字は9月24日からデリーで行われた、新型コロナウイルスの大規模な血清疫学調査の結果を集計したものだ。現地では定期的に検査が実施されており、今回で6回目となる。合計2万8000点の血液サンプルが採取され、これまでで最大の規模となった。 血清抗体検査の結果、インドの成人にあたる18歳以上の市民では、97〜98%に抗体が認められた。18歳未満では88%であった。280ある行政区別の割合では、もっとも数字の低い区でも85%以上となっている。男女別では、女性の方が男性よりも抗体保有

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  • 本性を現した岸田政権

    「デジタル田園都市国家構想実現会議」のメンバーにはこの人も(慶応大学名誉教授の竹中平蔵) Issei Kato- REUTERS <コロナ「10万円給付」クーポン利用のからくりと新自由主義への復帰に見る、前と変わらない自民党> 総選挙が終わり、絶対安定多数を獲得した岸田政権は格的な政権運営を始めることになった。早急に取り組むべき課題は新型コロナのエピデミックに伴う経済的苦境への対策であり、選挙中はそれを与党も野党も強く訴えていた。 野党は一人あたり10万円の再給付や消費税の時限的減税を主張していた。一方の与党も、具体性はなかったものの、一定の給付を示唆してはいた。しかし、いざ自民党と公明党が出してきた直接給付案は、18才以下に対して5万円の現金と5万円のクーポンを配るという、予想を下回る貧弱なものだった。 目的が分からない給付 この給付案が決まる過程では、自民党と公明党の間で何か交渉があ

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  • 中国に「ノー」と言っても無事だったオーストラリアから学ぶこと|ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

    Australia Shows the World What Decoupling From China Looks Like <コロナ発生源の独立調査を主張したオーストラリアに、中国政府は前例のない、経済全体に関わるほどの報復措置を仕掛けたが影響は驚くほど小さかった。これを見て、オーストラリアに追随する国々も出てきている> 事の発端は、オーストラリアが「傲慢にも」、新型コロナウイルスの発生源について独立した調査をすべきだと主張したことだった。中国はこれに激怒し、前例のない大規模な通商上の報復措置を取った。農産物から石炭まで、多分野に及ぶオーストラリア産品の輸入を凍結。両国の経済関係はあっという間にデカップリング(切り離し)の憂き目を見た。 とはいえ中国の狙いが、オーストラリアの「反抗」に経済的なお仕置きをし、それを見せしめにして、他の国々にも「逆らったら痛い目に遭うぞ」と警告することだっ

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