ちょっとAIに関する話題が続いたので、今回は趣向を変えてハードに近い話から始めよう。 数年前から、半導体技術の進化を支えてきた「ムーアの法則」が終わるのではないか、という議論が目に付くようになってきた。ムーアの法則は、米インテル創業者のゴードン・ムーア氏が提唱した経験則に基づく知見であり、元来自然法則ではない。したがっていつ終了してもおかしくない。それが、ここにきてさらに言われるようになってきた。 大本となるムーア氏の論文は、1965年に米Electronics誌に掲載された“Cramming more components onto integrated circuits”である。その趣旨は「今後10年間(つまり1975年だ)は集積回路の複雑度は約2年で倍増し続け、6万5000の部品(原文ではcomponentとなっているが、実質的にはトランジスター数)を搭載できるようになる」というもの