アメリカ大統領選の予備選挙で共和党のドナルド・トランプ候補の勢いが止まりません。「トランプ旋風」をめぐっては既に多くの識者がさまざまな観点から論じています。人種差別的な発言や、ムスリムの入国規制の提案、メキシコとの国境に壁を建設する提案、中国や日本の経済・通商政策を罵倒するなど、いわば放言・暴言といえるものを連呼しながらも、その一方で「アメリカを再び偉大な国にする」と叫び、アメリカの利益を最大化することを再三にわたって強調するトランプ候補は幅広い支持を集めています。 8年前、オバマ大統領が就任した際、アメリカの「チェンジ」が期待を集めました。しかし、格差の拡大や対テロ戦争での苦戦だけでなく、オバマケアをめぐって政党間の対立が過熱し、連邦議会が予算の計上すらできない事態が発生するなど、アメリカ政治は混迷を深めています。これらに鑑みれば、トランプ候補の躍進の背景に、国民の幅広い不満と怒りや、ワ