横尾忠則展をめぐる社会的事件について一言しておく。ソースは朝日新聞(6月6日朝刊)の記事と、独自取材である。 世田谷区立の小学校は、年一回小学四年生を対象に「美術鑑賞教室」を開いている。学校ごとに世田谷美術館の企画展のどれかひとつを選んで学童たちを連れてゆくのだが、今年は、全64校のうち22校が「横尾忠則・冒険王」を選んだ。 ところが、同「教室」開催の直前になって小学校校長会から区の教育委員会に同展の鑑賞を考え直すよう要請があり、けっきょく横尾展は教育委員会の判断で鑑賞教育の対象から外されることになった。性的な表現や、暴力にかかわる表現のあることが忌避されたのだ。 忌避の事由の是非はともかく、鑑賞の中止を決定した当の区教委が、この展覧会を後援しているのだから、おどろかないわけにいかない。後援するからには、充分な吟味が行われたはずであり、横尾展が学校教育にかんして如何なる意義を有するの