前方型認知症の患者さんが何人か入院しているが、その内1名は僕の担当患者である。彼女には、いわゆる「立ち去り行動」が見られる。 例えば診察時にちょっと油断すると席を立って出て行ってしまう。それは診察室に限らず、デイルームでも同じことが起こる。つまり2人で話しているとき、ちょっとした隙に立ち上がって、どこかに行ってしまうのである。 その隙とは、僕が処方箋を書いている時、あるいは看護師から僕に何か話しかけられている時に限られ、真に彼女と一緒に話している途中にはほとんど生じない。つまり彼女の注意が中断している時に起こる。 この「立ち去り行動」は前方型認知症の重要な症状の1つである。 これは前後の文脈を辿れば、「常同行動」を阻止されたことに対する反動という見方もできる。つまり彼女の病棟内の周徊中に診察室に呼んだため、話が途切れた時に、守備位置(定位置?)に戻るといった感じである。あるいは、単に1つの
日常臨床で広汎性発達障害の色彩を持つ統合失調症の患者さんを目撃することがある。 彼らを統合失調症と診断するか広汎性発達障害と診断するかは精神科医のタイプによるが、普通、幻覚妄想が一定期間以上続いていて、ひきこもりなどの陰性症状っぽい所見も伴っていれば、統合失調症と診断する医師が多いと思われる。 実際に、そのレベルの患者さんは成人していれば「統合失調症」として障害年金を貰っていることが多い。彼らが「統合失調症ではない」という確実な証拠はない。 僕は、全く別な所見で統合失調症と診断しているので、トータルで言えば、統合失調症の人もいれば広汎性発達障害の人もいるといったところだ。(過去ログ参照) 基本的に、明確に「広汎性発達障害」と診断できるほどの子供が将来「統合失調症」に移行するのは極めて難しいと考えている。これは過去ログに出てくる「知的発達障害の子供が統合失調症になりにくい」ことに関係が深い。
art | アロイーズ展@ワタリウム美術館はじめて見たとき、どこか懐かしい感じがしました。どこで見たことがあるのかは思い出せないのですが、幼い頃描いてた自分の絵を思い出しました。あと何故かロシア、とも。鮮やかな色合いのせいでしょうか。このかわいらしいリーフレットに反して実際に作品に向かい合ってみると、美しい色彩と装飾的な構図に反して線は力強く凶暴で、画面からせまりくるものがあって、とても怖かった。生肉、というか剥き出しになった色鮮やかな臓器を見る感覚であり、宇宙人の神殿のように未来的であり、曼荼羅のように宗教的であり、寡黙なのに噴出さんばかりの女の怖さがあった。会場ではじめてみたアロイーズの顔は、偏屈な老人だった。精神病患者の描く絵と曼荼羅との共通項はユングによって指摘されているのですが、病状が進むに連れ装飾的かつ左右対称になっていくそうです。そして彼女によれば「統合失調者にとって、赤はと
凍らせたヒト脳組織を傷めず解凍 ・ 手法の名称を追記しました。 脾臓の超音波刺激でラットの肺高血圧症が改善 ・ タイトルの誤字を訂正しました(脾臓に超音波刺激→脾臓”の”超音波刺激) ワクチンに添加される植物由来の免疫増強成分QS-21を酵母で作る手段を開発 ・ 関連ニュースを追加しました。 2009-07-14 - 無顆粒球症等の安全性の懸念によりクロザピンは2ndライン治療での使用に制限されていますが、フィンランドの全国的登録データを用いて統合失調症患者およそ7万人を1996年から2006年まで追跡調査したところクロザピン使用と死亡リスク低下が関連しました。 (4 段落, 373 文字) [全文を読むには有料会員登録が必要です] [有料会員登録がお済みの方はログインしてください] [メールマガジン(無料)をご利用ください]
精神科Q&A 【1585】13歳の娘に統合失調症の治療(あるいは予防)としての投薬を始めました(【1418】のその後) Q: 昨年【1418】12歳の娘に、統合失調症の前駆症状が見られるようなのですが、発症を予防するにはどうしたらいいでしょうか でご回答をいただきました現在13歳の娘について、ご報告差し上げます。その節は娘の状態についてご回答をいただきありがとうございました。おかげさまで夫(統合失調症で治療中)の主治医に診療していただける一助となりましたし、私の中で確認と覚悟ができたように思います。その後の状態をお伝えしたくメールを書かせていただいております。 その後、主治医のすすめで発達障害の検査を受けました。幼い頃の状態から考えてもその可能性は考えにくかったものの、現在の状態が広汎性発達障害に似た様相を呈していたためです。 しかし検査の結果その可能性は排除され、娘の現在の状態を統合失
最近、うちの病院で新患のしかも初発の統合失調症の人をほとんど診なくなった。新患はうつ状態が最も多い。よく考えると、いつか過去ログに出てくる「3人の女性患者」のうちの1名を診て以来、初発の新患は全く診ていないので、新規発生患者は非常に少なくなっていることが予想できる。 一般に、教科書的には統合失調症の発病率は0.8%くらいと言われている。たぶん、現在の真の発病率は0.4%くらいではないのかしらん?と思ったりする。若い統合失調症の患者さんを全く診ないかというとそうでもなく、例えば措置鑑定とか医療観察法の鑑定で診るので全然いないことはない。しかし、うちのようなタイプの病院にはあまり来ない。 単に操作的に診断すれば、幻聴などの陽性症状が一定の期間続けば、統合失調症と診断して良いため、マギレの人々が入り込んで、結局、従来と同じ0.8%となると言うのはあるかもしれない。これは時々過去ログでも触れている
「一生刑務所にいてもいい」。弁護人に漏らすほど、吉本やす子被告(58)は反省しているという。26日、横浜地裁であった相模原市の息子2人殺害事件判決。増えた白髪が苦悩をしのばせる吉本被告は法廷では、村上博信裁判長の説諭にも無表情なままだった。 懲役10年(求刑・懲役12年)を言い渡した後、村上裁判長は吉本被告を見つめ「あなたは自分の弱さを口にしたが、みんな弱いのです」と語りかけた。 吉本被告は、知的障害のある次男隆幸さん(当時24歳)の介護のため定年前に保育園を退職、ひきこもりの長男健一さん(同29歳)の面倒も一人で見ていた。検察側は介護疲れも動機と主張したが、吉本被告は「隆幸は私の太陽でした。介護は負担ではなかった」と公判で反論。判決も検察側主張は退けた。 「献身的な母親」とまで述べ同情を示す判決、「私だって思い悩むこともある」と諭す説諭。だが、耳元から上はほとんど白髪の吉本被告は、これま
58歳母親に有罪判決=息子2人殺害−横浜地裁 58歳母親に有罪判決=息子2人殺害−横浜地裁 神奈川県相模原市の自宅で息子2人を殺害したとして、殺人罪に問われた無職吉本やす子被告(58)の判決公判が26日、横浜地裁であった。村上博信裁判長は被告の責任能力を認め、懲役10年(求刑懲役12年)を言い渡した。 村上裁判長は、吉本被告が凶器の包丁などを準備した計画性を指摘、責任能力を認定した。一方、知的障害を負うなどした息子の将来を悲観していたことに触れ、「1人で追い詰められた母親の心痛や苦悩には同情を禁じ得ない」と述べ、刑の減軽の理由とした。(2009/05/26-15:35) 関連ニュース 【アクセスランキング】今、1番の注目記事と写真は 【時事ドットコム動画】最新の話題や展示会、水着ショーなど盛りだくさん 室内に現金、物色か=火元中心に現場検証 参考人の女の自宅を捜索=2女性殺傷事件
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凍らせたヒト脳組織を傷めず解凍 ・ 手法の名称を追記しました。 脾臓の超音波刺激でラットの肺高血圧症が改善 ・ タイトルの誤字を訂正しました(脾臓に超音波刺激→脾臓”の”超音波刺激) ワクチンに添加される植物由来の免疫増強成分QS-21を酵母で作る手段を開発 ・ 関連ニュースを追加しました。 2009-05-20 - スウェーデンの国民データを評価したところ、一般人口に比べて統合失調症患者の方が凶悪犯罪をするリスクがおよそ2倍高く(5.3% vs 13.2%)、統合失調症と凶悪犯罪リスク上昇の関連は主に薬物乱用合併に起因していました。 (2 段落, 146 文字) [全文を読むには有料会員登録が必要です] [有料会員登録がお済みの方はログインしてください] [メールマガジン(無料)をご利用ください]
自己と他者の社会学 (有斐閣アルマ) 作者: 井上俊,船津衛出版社/メーカー: 有斐閣発売日: 2005/12メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 12回この商品を含むブログ (20件) を見る この本の12章に「ひきこもり」についての論考がある。 土井隆義「かかわりの病理 引きこもりという『自分の地獄』」,2005, 『自己と他者の社会学』有斐閣,209-226. 約9年間自宅に引きこもった末に04年11月、両親と姉を殺害したとして殺人罪に問われた事件について土井義隆先生が触れている。 また,土浦市の青年は,犯行後の事情聴取で,「自分が殺される前に親を殺そうと思った」と供述している。しかし,現実には親が殺意を抱いた形跡などないから,「自分が殺される」というこの表現は,自分という存在が全否定されることを危惧したメタファーであろう。その裏には,自分に対する強い不安が潜んでいる。彼は,「
患者さんは精神科に通院すると自立支援法を始めいろいろな診断書を書いてもらうようになる。たまに、そういうのが全然ない人もいるが、そのような人でも会社や学校を休んだ場合、普通診断書は提出することがある。問題は今日のタイトル、 患者さんは自分の診断書を見てよいのか? これは結論を先に言うと、「見て良い」であった。 しかし、精神科医の立場からいうと、ものによっては見られたくはない。僕のような告知しないタイプはなおさら。 いつだったか、もう15年くらい前かもしれない。統合失調症の患者さんの診断書を書いた際にある触法行為について記載した。これはこれで理由があった。そういう風に書いておくと、本人が有利になるからである。(重篤さが認識され級が降格されないとか) 偶然、患者さんがその診断書の封筒を開けて見たため、メチャクチャである。病識は全然ないし。 触法行為は現実にあり嘘は書いていないわけで、診断書をそん
57歳の弟ともみ合った末に死なせたとして、東京都武蔵野市吉祥寺南町、自営業、田中健一郎容疑者(60)が今月3日、警視庁武蔵野署に傷害致死容疑で逮捕された。弟は統合失調症で最近は薬を飲まず、2人暮らしの父親(89)に暴力を振るうなど荒れ気味。事件当日も、田中容疑者がその暴力を止めようとしたところだった。攻撃的になることもあるとされる統合失調症患者。田中容疑者の犯行は許されないが、父親らから話を聞くと、過酷な状況に置かれた家族の現実が浮き彫りになってくる。 同署や父親ら家族によると、弟は統合失調症で、5年以上前には1年間ほど入院。退院後は無気力な状態が続いていた。「長男のおれが面倒を見ないと」。近所に住む田中容疑者は妻にそう言っていた。自身も脳出血を経験しているが、食事などの世話を続けた。 「病気が治ったんだ」。そう説明する弟は数カ月前から薬を飲まなくなった。実際、元気を取り戻したかに見え、田
〔ロンドン〕キングズカレッジ病院(ロンドン)精神医学研究所のGraham Thornicroft教授とInternational Study of Discrimination and Stigma Outcomes(INDIGO)の研究グループは,統合失調症患者への差別について27か国で横断的研究を行った結果,いずれの国でも家庭内や求職,就労継続,友人づくり,交友継続などのさまざまな状況で差別を経験しているとLancet(2009; 373: 408-415)に発表した。 友人づくり,交友の維持などで経験 統合失調症患者の多くは,疾患に対する人々の知識,態度,行動に起因するスティグマ(社会的恥辱)を経験している。こうした差別は患者の間に貧困や社会的無視,QOLの低下を引き起こしている。富裕層・貧困層の双方を含めて27か国で実施された今回の調査では,732例の統合失調症患者と実際に面接し,
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