行政の役割は生活を支えること 最後に私の代案を提示したい。 家庭教育への行政による介入は、一般の大人を教育しようとするものなので、すぐれて謙抑的でなければならない。犯罪受刑者に対する矯正教育のような一部の例外を除き、望んでもいない大人を教育してはいけない。 そもそも、教育基本法では、「家庭教育」は公の性質をもたないものとして考えられている。まずはそれをみんなが理解するべきである。 家庭で実際に子どもを教育している保護者が、家庭教育をどうやっていけばよいのか迷うことがあるのは通常だし、そういうものだ。迷いがあるのはあたりまえで、前に述べたように「正しい答えが定まらない」のが子育てなのだ。 だから、行政であれ、地域の人であれ、「正しいやり方」を押しつけてはいけない。 格差社会の進行の中で、子どもの教育について十分配慮する余裕がないような、深刻な問題を抱えた家庭は確かにある。そういう家庭には支援