ネット上で少なからぬ人が、この国はすっかりひどい国になってしまったと嘆いている。そうした言葉に出合うたび、私もこくこくと頷かずにはいられない。 かつてルース・ベネディクトは「日本は恥の文化」と言い、その端的な指摘は当の日本人にも広く深く受け入れられたが、いまやもうすっかり恥知らずの国になり果ててしまった。 世の中の上つかたの人々が、あからさまに自分の欲得まみれのことを言い、行い、恬として恥じない。権力に抱きこまれたマスメディアは、そうした道に外れた行いを批判しようともせず、ただ大本営発表を既定のこととして報ずるのみ。 庶民もまた自分の興味・欲得にまっしぐらで、必要な情報を知らせようとしないマスコミに文句を言うどころか、彼らの発信するパンとサーカスに夢中だ。 西洋人から見て、支配者層から庶民まで「恥」を重んじると見えたのは、この国に「お天道さま」とか「世間さま」が生きていたからではないかと思