欧州連合(EU)の欧州委員会は4日、EU域内を出入国審査なしに出入りできる「シェンゲン協定」の改定案を発表した。移民の大量流入など特別な場合に限り、国境での入国審査を認める。具体的な条件は12日に開くEU内相会合で検討し、6月下旬のEU首脳会合で最終的に決める。 同協定を巡っては、フランスとイタリアが4月末に首脳会合を開き、見直しで合意。欧州委員会などに改定を求めていた。 一時的に国境審査を認める条件として、加盟国が国境管理に失敗し、EU域外からの移民を止められない場合を挙げた。 1月のチュニジア政変以降、2万5千人以上の移民がイタリアに流入。イタリアが短期の滞在許可を与えた一方、フランスはイタリア国境を一時的に閉鎖して流入を阻止するなど、移民の扱いを巡って両国が対立していた。(ブリュッセル=野島淳)