キリスト教会で説教などに引用される「ドナウの跳ね橋」という話をご存じだろうか。「跳ね橋」とは船がその下を通る際に橋が跳ね上がる仕組みの橋で、要約すると以下のような内容だ。 ヨーロッパのドナウ川に架かる跳ね橋の管理をしている男がいた。その男には独り息子がいて、跳ね橋のワイヤーを巻き上げる作業を手伝っていた。跳ね橋が上がり、船が通ると、船上の人々は親子に向かって笑顔で手を振るのだった。ある日のこと、船が近づいたのでいつものように父親は跳ね橋を上げようとした。すると、あろうことかワイヤーを巻き上げる機械に息子が落ちて挟まっているではないか。このままワイヤーを巻き上げれば息子は巻き込まれて死んでしまう。しかし、巻き上げなければ船は橋げたに激突して船上にいる多くの人のいのちが失われる。船は刻々と近づき息子を助けている時間の余裕はない。そこで父親はワイヤーを巻き上げた。跳ね橋は上がり、船は無事に通過し