「誰にも知られていないんです」 労働災害で亡くなった27万人あまりの慰霊施設。 この場所から、孤立する労災遺族をつなぎたい。 立ち上がったのは、熊本市の遺族でした。 (熊本放送局 記者 松尾幸明) 労災で失われた命 労災で家族を亡くした、熊本市の深迫祥子さん(54)です。 4年前、東京でバリスタとして働いていた息子の忍さんを亡くしました。 当時29歳。コーヒー豆を運ぶ際、過ってバックしてきたトラックと壁の間に挟まれた、労災でした。 深迫祥子さん 「誰も知らない」 忍さんが労災に認定された後に届いたのが、ある施設の案内でした。 東京・八王子市にある「高尾みころも霊堂」。 国が半世紀以上前に設置した、全国で唯一、労災で亡くなった人を追悼する施設です。 労災で家族を亡くすまで、施設の存在を知らなかった深迫さん。 初めて訪れたとき、想像以上に多くの若者が労災で亡くなり、まつられていることを知り、自