この状況は何だろう 福島の子の感性が奪われていく恐怖 <放射能が降っています。静かな夜です> 静謐(せいひつ)で美しく、絶望的でおぞましいこの句を和合亮一さんがツイッター上に記したのは2011年3月16日の夜である。妻子を山形に避難させて居残った福島市のアパートの、窓も扉も閉め切った部屋でひとり、詩人はただただ、原発から漂ってきているに違いない「空気」に恐怖していた。 いや、あの時、日本中がメルトダウンを起こした東京電力福島第1原発事故の行方に恐れおののき、ミネラルウオーターが店頭から消え、繁華街は暗く、真剣に「もう原発はごめんだ」と叫んだのではなかったか。 この記事は有料記事です。 残り3124文字(全文3406文字)