『存在と時間』の直接の大きな主題はもちろん、存在および時間の問題だが、これを解明するために次のような見通しで研究にのぞむことを、ハイデガーは『存在と時間』のなかで明らかにしている(原著39~40頁;ちなみに、このブログで『存在と時間』に言及する必要がある場合には、細谷貞雄訳のちくま学芸文庫版を用いる)。 第一部 第一編 現存在の準備的な基礎分析 第二編 現存在と時間性 第三編 時間と存在 第二部 第一編 カントの図式論および時間論ーー時節性の問題設定の前段階として 第二編 デカルトのの存在論的基礎と、res cogitansの問題圏への中世的存在論の継承 第三編 古代的存在論の現象的基盤とその限界の判別尺度としてのアリストテレスの時間論 しかし、実際の『存在と時間』は、この綱要の第一部第二編にあたる「現存在と時間性」で中断され、その後書き継がれることがなかったために、『存在と時間』について