中心極限定理などに基づいて母集団の確率分布のパラメータの点推定・区間推定や、パラメータに関する仮説の検定を行う推測統計は、基本的な考え方は一貫している一方で推定の対象や分散の既知・未知などに置ける場合分けなど、関連する概念が多くわかりにくい。 そのため当稿では解法の整理の補助となるように、推測統計に関連するトピックをフローチャートの形式にまとめる。作成にあたっては、「基礎統計学Ⅰ 統計学入門(東京大学出版会)」の$9$章〜$12$章を主に参考にした。 大枠の整理 推測統計を考える際の前提 推測統計を考える際に前提となるのが母集団(population)と標本(sample)である。記述統計学(descriptive statistics)では得られた標本についてのみ考えるが、得られた標本の裏側の母集団についても考察を行うのが推測統計である。 推測統計では母集団の持つ分布である、母集団分布(