2016年4月21日 倉知善行※1 平木一浩※2 西岡慎一※3 全文 [PDF 736KB] 要旨 わが国や欧米では、マクロレベルの物価の動きが粘着的なわりには、ミクロデータからみた個々の価格は頻繁に改定されている。これは、一種のパズルとして捉えられているが、米国では、特売をはじめとする一時的な価格改定の存在がこの背後にあると考えられている。すなわち、一時的な価格改定は、特売などによる値下げと値戻しが商品間で相殺され、マクロレベルのインフレ率の動きに大きく影響しない。この結果、マクロのインフレ率の動きに影響するのは、そうした動きを除いた「正規価格」の改定のみとなり、これがマクロレベルの粘着的な価格の動きに反映されるというのがこの仮説の骨子である。これに沿って、わが国CPIのミクロデータを用いて分析したところ、この仮説はわが国でも概ね支持されることがわかった。ただし、米国のケースとは異なり、