前記事のついでに、いわゆる可変預金保険料率の導入に関しての私見を述べておこう。 もし預金保険制度が存在しなければ、預金者が合理的であれば、預金をする際には安全利子率(前記事のr)にリスクプレミアム(リスクがあることに対する割増分)を加えたものを要求するはずである。したがって、銀行の資金調達コストは、リスクプレミアムをρとすると、r+ρとなる。 これに対して預金保険制度が存在すれば、銀行は預金者に対して安全利子率さえ払えば預金を集められる。ただし、別途、預金保険機構に対して預金保険料を支払わなければならない。したがって、トータルでの銀行の資金調達コストは、預金保険料率をzとすると、r+zとなる。 それゆえ、r+ρ>r+z、即ち、ρ>zであれば、預金保険制度が存在するおかげで銀行は得をしている(補助金をもらっている)ことになり、ρ<zであれば、銀行は損をしている(課税されている)ことになる。そ