オルガスムの歴史 作者: ロベールミュッシャンブレ,Robert Muchembled,山本規雄出版社/メーカー: 作品社発売日: 2006/07メディア: 単行本購入: 2人 クリック: 40回この商品を含むブログ (8件) を見るミュッシャンブレは「心性mentalitéの歴史学」畑の歴史家。『オルガスムの歴史』は邦訳書題こそ好事家向けのイロモノっぽさが漂うものの、方法論的には正統のアナール学派であり、著者の歴史意識にも確固としたものがある。本書では、統計資料(無名・無個性な個人の集合体としての数字)と、各時代に特徴的な「表現」(文学・思想・絵画…)の両面から、西洋近代(16世紀から今日まで)の性愛にまつわる現象と表象を浮かび上がらせていく手法が採られている。フーコーの『性の歴史』や「生-権力(bio-pouvoir)」概念については、矮小化した理解に基づいて批判している感が否めないし