山口地裁で8日に始まった裁判員裁判は、介護に疲れた夫が寝たきりの妻を刺殺しようとしてけがをさせた殺人未遂事件が対象だ。審理は半日で終わり、検察側は懲役4年を求刑した。身近な介護の問題を裁判員らはどう判断するのか。 山口県周南市の無職岩崎政司(まさし)被告(63)は公判の冒頭、5月15日に自宅の寝室で妻百合江さん(60)の首を包丁で1回刺し、10日間のけがをさせたとする起訴内容を「間違いありません」と認めた。 検察側は、被告が脳の出血で寝たきりになった妻を96年から1人で介護していたと説明。介護疲れから無理心中を決意し、妻を刺した後、自分の首を刺したり、殺鼠剤(さっそざい)を飲んだりしたが死にきれず、110番して自首した経緯を明らかにした。 証人として出廷した被告の妹は「体の向きを変えたり水分の補給をしたり一生懸命だった。だから床ずれはなかった」などと、被告の献身的な介護ぶりを証言した