私たちは、少なくとも昨年6月から8月にかけて実効再生産数と移動率との間の相関度が低下した時期があることを把握している。しかしその後、人の移動率と実効再生産数の関係性は再びはっきりしてきている。 相関度が一時期、低下したのは、緊急事態宣言や局所での休業要請などの強い流行対策の下で人々が選択的な行動を取り、ハイリスク接触が減っていたためだと考えられている。対策下で人口全体の移動率と2次感染の間の相関度が低下することは国際的にもよく知られている。十分にその点を考慮したうえで政策に強く関連する本件の記述をしたのか、検討すべきだ。 都合のいい分析結果が切り取られている 政府の科学的なエビデンスに対する姿勢の問題もある。本来、科学的な分析はたくさんのやり方で複数の人にやってもらい、それらをテーブルの上に並べ、十分に検討したうえで政策を決めていくというプロセスが理想だ。しかし、今は密室で1つか2つしか分