真昼の暗黒 (岩波文庫) 作者:アーサー ケストラー 発売日: 2009/08/18 メディア: 文庫 スターリンの時代に行われた、モスクワ裁判をモデルにした本。 党の最高幹部であり英雄だったルバショフは、「党を裏切り、ナンバーワンの暗殺をもくろんだ」という嘘の自白をして処刑される。 ルバショフはなぜ、それまでの自分の名誉を踏みにじるようなでっち上げられた罪を認めたのか。 先日読んだ笠井潔の「テロルの現象学」で、「党派観念」の例示としてあげられていて興味を持った。 「党派観念」に基づいて生きている人間がどういう思考回路をしているか、ということが克明に語られている。 自分が一番、「こういう考え方をしているのか」とわかりやすかったのは、ルバショフがリチャードに「党」とは何かを説明するシーンだ。 党は誤謬を犯さない。(略) 私もきみも誤謬を犯すことはある。 党は違う。党はだね、同志、きみや私や、