前回筆者は、今の日本のコピーワンス方式は容認できないと書いた。なぜなら利便性や自由度を損なうという、ユーザー側の論理だけでなく、日本の産業界にとっても、そして結果的にはそれを強いている放送業界の側にとっても有害なモノであると思うからだ。 実は、こうした認識は筆者だけでなく、機器ベンダ関係者の多くが同じような認識を持っている。そこで、今回は、なぜ産業界にとっても、放送業界にとっても有害なものであるのか、について筆者が思うところを述べていきたいと思う。 ●ARIBにより規定されているコピーワンスという仕組み 最初にコピーワンスのあらましについて復習しておく必要があるだろう。コピーワンスとは、日本で発売するデジタル放送の受信機器に義務付けられている仕組みで、デジタル放送のストリーム受信時、ローカルのストレージに残す場合は、ほかの機器やストレージなどにコピーできないようにする仕組みだ。これは放送業