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「フリーフォール」「通貨危機」「経済崩壊」ーー。これらは、1ドル=160円までの急激な円安を踏まえて投げかけられた警戒すべき言葉である。GDPの1%とも言われる為替介入が円安を食い止める以上の効果を上げられなかったことで、警戒感はさらに強まった。この原稿を書いている時点で円相場は1ドル=157.8円だ。 大きな危険は「金融クラッシュ」ではなく… 普段は冷静なエコノミストの1人で、日本に住んでいたこともあるノア・スミスは、ブログの読者にこう語った。 「日本の通貨はまだ暴落していない。日本の経済破綻は、日本国民を困窮させるだけでなく、世界経済の柱のひとつを揺るがすことになる...」。 2003年当時、日本が日本国債の大暴落の危機に瀕しているという話があったことを思い出す。もちろん、そのようなことは起こらなかったし、円にそのようなことが起こっている証拠もほとんどない。 より大きな危険は、突然の金
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お盆休みに入ってドル円相場は145円台に復帰し、断続的に年初来安値を更新している。かつて日本の盆休みは「円高の夏」として警戒されたが、2022年、2023年と真逆の「円安の夏」に直面している。 これまでの盆休みが「円高の夏」だった理由は判然としない。 例えば、多くの市場参加者が一斉に休暇を取るタイミングで為替市場の流動性が薄くなる中、残された実需勢のリーブオーダー(希望価格を指定した保留注文)が機械的に約定して値が飛びやすいシーンが多発するといった解説はよく見られた。 その説が正しいかはさておき、そのような事態は現状にも当てはまるものだろう。 残された実需注文は「円売り」に 決定的に異なる点は、かつての実需勢は輸出企業を中心とする「円買い」、今の実需勢は輸入企業を中心とする「円売り」という事実である。日本が抱えている需給環境が、本邦市場参加者の居なくなるタイミングで顕在化しやすくなるのが盆
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「インフレ率2%」は、日本経済にとって悪い。 なぜなら、無理に自国の経済構造に合わないインフレ率を、「欧米がターゲットとしているから」というだけで最優先の目標と設定するのもばかばかしいし、多大なリスクと損失を無視して全力で遮二無二進むことで日本経済へのダメージもとてつもなく大きくなるからだ。これはこれまで何度も議論してきたことである。 今回議論するのは、「インフレ率2%」ということ自体が日本経済にとってはマイナスであり、欧米には(いや世界にも)存在しない日本経済や日本社会の稀有な長所を破壊するものだということである。 なぜ日本だけがインフレ率が上がりにくいのか どういうことか。 まず、なぜ日本だけが欧米と違って、先進国の中でインフレ率が上がりにくいのか。それで経済が安定してきたのか。 日本においては、雇用の安定性を重視してきたため、景気が悪化しても失業率は上がらず、物価も大きくは下落しなか
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シニア向けの「らくらくホン」などを手がけるスマートフォンメーカー、FCNTが5月30日、民事再生法の適用を申請した。帝国データバンクによると、適用を申請したのはFCNTの親会社を含めたグループ計3社で、負債総額は約1200億円に上るという。 富士通のモバイルフォン事業本部から2018年に分離独立した同社は、らくらくホンのほか、高付加価値製品ブランド「arrows」でも知られる。直近まで通常の営業を行なっており、業界関係者の間でも、突然の発表に驚きを隠せない人が多かった。 2022年3月から始まった急激な円安とその定着、スマートフォン市場の成熟化といった背景もあり、収支改善の道筋をつけることができなかったものとみられる。 業界全体を俯瞰すると、昨今はシステムチップやCMOSセンサーなど半導体を中心とした部品不足が叫ばれ、競争力を高めるキーコンポーネントは早期に確保しておく必要もあった。そうし
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ひろゆきが所有・管理する「4Chan」アメリカで問題視される危険性とは(写真:Ko Sasaki/The New York Times) ソーシャルメディアで日本社会のダメさ加減を論じる彼は何百万人というフォロワーを集め、日本最大級のファッションショーのランウェイに登場。国民に金融リテラシーの向上を促す政府広報の動画にも出演し、全国規模の世論調査では高校生が選ぶ「首相になってほしい有名人」の1位に選ばれたこともある。 その彼とは、西村博之。日本のお堅いルールに抑圧を感じている同国の若者から好感を集めて有名になった起業家だ。著述家、コメンテーターとしていろいろな場所に出まくっている彼を、人々は単に「ひろゆき」と呼ぶ。アメリカでは「アダム」と同じくらい一般的な名前だ。 20冊を超える著作と何百本という雑誌コラムの中で西村は、ファンにこう促してきた。もっと自分勝手になれ、他人の目を気にするのをや
短期的には、アメリカのインフレ率急落を祈ることが、超円安に対処するための日本の唯一の選択肢かもしれない。しかし、長期的には、日本企業の競争力を根本的に強化しなければならない。なぜなら、それが「実質」円安の根本原因だからである(「実質」円の定義と経済的意義は後述する)。円安は、日本企業が国際市場で元気をなくしているから起きているのだ。 まず、短期的な話をしよう。この1年半、円安の唯一最大の要因は、アメリカの金利と日本の金利の差である。そして、金利の上昇は、アメリカの高インフレに対するアメリカの武器である。日米金利差が大きければ大きいほど、日本からアメリカへの資金流入が増え、円安が進む。 逆に、11月10日に一時、1ドル=146円から138円まで急激にドル高になったように、アメリカのインフレ率が下がれば、アメリカの金利が下がり、円高になる。つまり、アメリカのインフレ率の数値は、日本銀行がどうこ
「認証してもらえる」という見通しがあった ――1997年に宗務課長だった前川さんは、統一教会の名称変更を受け入れませんでした。名称変更の申請を受理しないのは「違法」ではないかという指摘が一部でありますが。 申請を出されたら必ず受理しなければならないのは当然のことだ。1997年当時、私は申請前の事前相談の段階で「認証はできないので、申請はしないでください」とお願いし、先方は納得のうえで引き下がった。そこに違法性はない。 宗教団体の名称も、宗教団体の実態(宗教団体性)を表す重要な要素だ。「世界基督教統一神霊協会」という名前で長年活動し、信者を集め、社会的な存在としても認識されてきた。実態と合わない名称変更は認められない。 それでも申請されれば、受理するしかない。受理したものを認証するかしないかは次の段階の話だ。申請を受理した後、認証しないケースに限って、主な宗教法人の代表者や宗教学者でつくる「
サンマ、サケ、スルメイカをはじめ、漁獲量の減少に関する報道が後を絶ちません。時折「前年よりも増加」などという報道もされますが、それはすでに、ものすごく減少した漁獲量に対してである場合がほとんどです。10~20年単位でみていくと大した増加ではなく、それどころか、ほぼ全魚種が減少を続ける傾向にあります。 「日本の漁獲量が減少している」という報道はされても、「世界全体では増加している」という報道を耳にした記憶がありません。そこで、日本と世界では漁獲量の傾向がまったく異なることをファクトベースで説明します。そしてどのような対策が必要なのかについてもお話しします。まずは「知る」ことが大切です。 実は世界では漁獲(生産)量が増加している
——甥っ子である山上徹也さんが安倍晋三元首相を銃撃する事件を起こして約2カ月が経ちました。伯父さんへの取材も殺到したと思います。 事件が起きた7月8日の昼、息子たちから電話がかかってきた。「徹也がえらいことやった」と言うんでテレビをつけたら、容疑者「山上徹也」と大きく報じられていた。すぐに徹也の母A子と妹のB子に連絡し、「急いで荷物をまとめてうちへ来い」と指示を出した。2人はそれから1カ月ほど、この家(伯父宅)で過ごした。 その間、私は何よりも事実関係を正しく解明してほしいという思いから、自分にできることはすべてやってきたつもりだ。 事件直後に検察と連絡を取り、検事がメディアに囲まれていた自宅に2度にわたって来た。検察には所持していた資料をすべて渡すとともに、A子の調書をその場で作成してもらった。資料は私が山上家に仕送りした際の振込用紙や、2007年に他界した家内が手帳に記していたメモ、私
なぜマインド・コントロールされてしまうのか 「人がまったく変わってしまった」「人格が一変してしまった」 日本では、いや世界でも「熱狂的な宗教集団」である「カルト」的なマインド・コントロールの事例が繰り返し起こっています。たとえば、親や友人をとても大切にしていた優しい人が突然、親や友人と口を利かなくなったり、罵倒したりするようになってしまう。実際にマインド・コントロールされている状態の人と接したことがなければ理解しにくいことかもしれませんが、現実に起きています。 拙著『決定版 マインド・コントロール』でも解説していますが、マインド・コントロールとは「自分以外の人や組織が常識から逸脱した影響力を行使することで、意識しないままに自分の態度や思想、信念などが強く形成・支配され、結果として物理的・精神的・金銭的などの被害を受ける状態」と思ってください。 アメリカの社会心理学者チャルディーニ博士が著し
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自信がない時、人は守りに入る 子どもの頃に抱いた「信念」から、人は自分がこれ以上傷つかないように「防衛戦略」をとるようになるということは、前回の記事でもお伝えしたと思います。今回は、その防衛戦略のうち、「コントロール志向」と「権力志向」がある人について掘り下げてみたいと思います。 「権力志向」と聞くと、強い上昇志向のある人間を思い浮かべるかもしれませんが、実は、そんなことはありません。権力で自己防衛しようとする人は、自分の立場が相手よりも下になると、自分は攻撃されて傷つけられてしまうという、行き過ぎた不安を抱えている人なのです。 このような人たちは、子どものころに「親の言いなりになるしかない」と何度も感じた経験から、いつでも「相手は自分よりも権限を持っていて、自分を支配する存在」だと認識しています。決して、自分がすぐれていると思って威張ろうとしているわけではありません。ただ、支配的だと感じ
――2月末からの長期金利の上昇による相場の下落をどう見ますか。 景気回復を織り込んで長期金利が上昇し、金利敏感セクターから景気敏感セクターへのシフト、おおまかにいえば、グロース株からバリュー株へのシフトが起きている。金融相場から業績相場への移行期にはいつも起きることなので、悲観することはない。ただ、今回はコロナ禍によって恩恵を受けるグロース銘柄は大きく上昇し、コロナ禍で打撃を受けたバリュー株は大きく下落したため、グロース株とバリュー株の比率を見ていると、もう少し調整に時間がかかる可能性がある。 ――現在のアメリカ株を軸とした世界的な株高はバブルなのかそうでないのか、意見が分かれています。 パウエルFRB(連邦準備制度理事会)議長は「バブルかどうかは後になってみないとわからない」と言っている。グリーンスパン元議長もそう言っていたわけで、これはFRBの共通認識といってよい。 株価については3つ
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