7人の教え子が七つのメダルをつないだ。柔道日本代表男子の井上康生(こうせい)監督(38)は、感極まってむせび泣いた。「最後まであきらめずに戦い抜き、みんなでバトンをつなげてくれた。歴史に名を刻んだ7人になった。誇りに思う」 代表コーチだった4年前のロンドン五輪。男子はメダル四つを獲得したが、金は史上初のゼロ。「自分の無力さに涙を流した」。その11月、34歳の若さで代表監督に就任。2000年シドニー五輪で鮮やかな全試合一本勝ちを収めた日本柔道界の「切り札」に、お家芸の再興は託された。 「代表の誇りを持て」と選手たちに訴え、身だしなみから合宿所の使い方まで変えさせた。2年前の世界選手権で遅刻を繰り返した60キロ級の高藤直寿(たかとうなおひさ)には、強化ランクを落として国際大会への出場を見送る処分を下した。自身も頭を丸めた。「やりすぎでは」と批判の声も出たが、「大事なのは本人が変わること」と意に