【台北=野嶋剛】日本政府の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表(大使に相当)の「日本がサンフランシスコ平和条約で台湾の領有権を放棄した後、台湾の地位は未確定」との発言が波紋を広げている。与党・国民党から解任要求が出る一方、野党・民進党は斎藤代表の擁護に回るなど、世論を二つに割る事態に発展している。 「52年の日華平和条約で、台湾の主権が中華民国(台湾)に戻った事実はすでに確認されている」。馬英九(マー・インチウ)総統は5日、斎藤代表の発言に総統として初めて反論した。 「台湾は中華民国の一部」という前提に立ち、斎藤発言を問題視した馬政権と国民党に対し、台湾の独自性をうたう民進党にとって「台湾の地位未定論」は逆に好ましい主張だ。斎藤代表の発言は台湾の与野党に格好のケンカの材料を与えた形になった。 4日、国民党議員団は斎藤代表を「歓迎されざる人物」と認定するよう馬政権に要求する決議を