泰州ちゃんの遺体が見つかった現場には、地蔵が建てられた。月命日には両親がここを訪れ、花を手向ける(広島県福山市内で) 9歳の「やっちゃん」はいつも星空を見上げていた。当時のまま残してある勉強机には、大好きだった天体の本が並んでいる。 広島県福山市の森田泰元(たいげん)さん(64)、泰子さん(61)の長男・泰州(やすくに)ちゃんが誘拐され、命を奪われてから、もうすぐ25年になる。そして、犯人の津田暎(あきら)死刑囚(執行当時59歳)の刑が執行されて、10年が過ぎた。 泰元さんは8期32年務めてきた福山市議を今年4月に引退した。現在、NPO「日本宇宙少年団」の分団長として、天体観測を通じ、子供たちに宇宙に親しんでもらう活動に取り組む。「生きていれば、息子は33歳。少年団の指導役として活躍してくれただろう」。そんな思いに駆られる。 遺体が発見された福山市内の雑木林には、泰元さんの友人の手で建てら