取材・文/柿川鮎子 写真/木村圭司 ベランダで野鳥を観察していて、必ず目に入る鳥のひとつがヒヨドリです。冬の間は特に、けたたましく鳴きながらヒヨドリ仲間で空中バトルを繰り返す姿が、よく見られます。 バードフィーダー(餌やり場)では餌を独占する嫌われ者で、野鳥に慣れてくると、たいして珍しい鳥ではないと思ってしまいがちですが、その生態は不思議に満ちていて、ヒヨドリならではの魅力がたくさん。 今回はそんなヒヨドリがもっと素敵に見えてくる3つのエピソードをご紹介しましょう。 ■その1:都心部で繁殖するようになったのは最近のこと 今でこそヒヨドリは都心部でも一年中観察できるありふれた鳥ですが、東京都内では1960年代後半までは秋から冬に見られる鳥(漂鳥)でした。ところが1970年代いは春から夏にも生息し、子育てもする留鳥へと変化したのです。 当時の新聞の一面では「都内でヒヨドリが繁殖した」という記事