公正取引委員会は3月30日、電力カルテルに関して中国電力、中部電力、九州電力の3社などに独占禁止法違反で排除措置命令および課徴金納付命令を出した。過去最高の1010億円という課徴金総額や経営陣の進退ばかりに目がいきがちだが、今回公取が明らかにしたのはカルテルだけではない。公取の命令の中には「電力・ガス取引監視等委員会に対する情報提供」という項目で、大手電力による市場操作など驚くべき行動が多数記されていたのだ。 今回、公取が命令を出した電力カルテルは、関西電力が主導し、中国電力、中部電力、九州電力の幹部が相互不可侵の協定を結び、地域独占時代の自社供給エリア(以下、自社エリア)を超える営業を手控えたというものだ。その背景に、2017年から関電が仕掛けた苛烈な安値競争があったことは以前に解説した通りだ(「電力カルテルはなぜ起きた? 関電が安値攻勢をかけた2017年からひも解く」参照)。 関連情報