発生から7日で90年となる北丹後地震を伝える丹後震災記念館(京都府京丹後市峰山町、府指定文化財)が、老朽化で4年以上も閉鎖され、存廃の岐路に立たされている。 所有する京丹後市は「貴重な施設だ」と認めるが、数億円かかる保全費用の捻出が困難なためだ。4日は地元で震災の記憶を伝える催しも行われたが、館は使用されず、野ざらし状態が続く。 記念館は地震から2年後の1929年、府などが義援金の残金を基に建設した。当時は珍しい鉄筋コンクリート2階建てで、壁には洋画家・伊藤 快彦 ( やすひこ ) 氏(故人)が被災直後の様子を描いた3枚の「震災実況模写油絵」が掲げられている。 54年に旧峰山町に無償譲渡後、図書館などとして活用。発生時刻で止まった時計や火災で溶けた硬貨など地震の資料を展示する「丹後震災記念展」の会場としても使われてきた。