1. 発表のポイント ◆深海底に沈むプラスチックごみの実態はほとんど知られていない。 ◆房総半島から約500km沖、水深6,000m付近の海底をプラスチックごみの集積地と見込み調査した結果、ポリ袋や食品包装等の使い捨てプラスチックが大量に見つかった。 房総半島沖の大深度の海底に広がるプラスチックごみの密度(平均4,561 個 km-2)は、過去に記録された大深度の海底におけるプラスチックごみと比べて2桁も高く、海溝や海底谷など、ごみなどが集まりやすいと考えられる窪地と比較しても高い値を示した。 2. 概要 国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是、以下「JAMSTEC」という。)地球環境部門 海洋生物環境影響研究センター 海洋プラスチック動態研究グループの中嶋亮太副主任研究員らは、房総半島から約500km沖、水深6,000m付近の深海平原(※1)において、2019年9月に有人潜水
1. 発表のポイント ◆セキトリイワシ科として最大種となる新種の発見 ◆非常に栄養段階が高く、駿河湾深部のトップ・プレデター ◆生態系への影響力があり、脆弱で環境変動の影響を受けやすいトップ・プレデターの深海域における多様性と役割の解明が急務 2. 概要 国立研究開発法人海洋研究開発機構(理事長 松永 是、以下「JAMSTEC」という。)地球環境部門 海洋生物環境影響研究センター 深海生物多様性研究グループの藤原義弘 上席研究員及び河戸勝 准研究副主任らは、神奈川県立海洋科学高等学校所属の実習船「湘南丸」を用いた深海調査を駿河湾で実施し(図1)、セキトリイワシ科の新種となるヨコヅナイワシNarcetes shonanmaruae(図2)を発見しました。 本種はこれまでに報告されているセキトリイワシ科魚類の中で最大種であり、全長約140 cm、体重25 kgに達します。駿河湾の水深2,171
着目点 伊豆弧の多くの海底火山にはカルデラが存在します。西之島においてもカルデラ形成を伴うような大噴火が起きる可能性があります。 カルデラ噴火の予兆を噴出物や地下構造探査によって探知する挑戦的取り組みが求められています。 西之島の噴火のゆくえ 現在西之島(写真1)は、活動がさらに活性化し、2020年6月以降大量の溶岩と火山灰を放出しています。また火山灰の成分が変化してきたことも報告されています(東京大学地震研究所【研究速報】西之島2019年-2020年活動の観測)。火山活動は、地下深いマントルからマグマが供給され、地殻を形成していくプロセスです。マグマによって地殻の量は増加しますが、地形的な火山体が常に成長・拡大するとは限りません。多くの火山体は成長と破壊を繰り返しています。西之島においても海底地滑りによる火山体の崩壊とそれにともなう津波の推測がなされています(前述の東京大学地震研究所【研
2020年7月4日未明から朝にかけて、熊本県や鹿児島県では、数十年に一度のこれまで経験したことのないような大雨となり、気象庁は大雨特別警報を発表しました。雨量は24時間で400mm以上となる地点が複数あり、球磨川の氾濫によって熊本県の人吉市や球磨村などで広く浸水したり、土砂崩れが起こるなど7月5日の時点で既に大きな被害が生じています。お亡くなりになられた方々にお悔やみを申し上げますとともに、被災された全ての方々及び関係者の皆様に心よりお見舞いを申し上げます。 梅雨前線に伴う大雨特別警報が出た近年の豪雨としては、平成29年7月の「九州北部豪雨」、平成30年7月の「西日本豪雨」があり、いずれも「線状降水帯の停滞」が大きな原因となっています。 本コラムでは、線状降水帯がなぜ「数十年に一度」クラスの大雨をもたらすのか、について概説します。 コラムのポイント 線状降水帯とは? ・積乱雲が数十km以内
2018年6月18日大阪府北部の高槻市直下でMJMA6.1(※1)の地震が発生し、5名の犠牲者(6月19日時点)を含む被害をもたらしました。心からご冥福をお祈り申し上げます。この地震の発生を受けて、政府の地震調査研究推進本部地震調査委員会や関連する報道で、南海トラフの巨大地震(以下、南海トラフ地震)との関係が話題になっています。その中で、「南海トラフ地震の前後で内陸の地震が活発化する」という説が、その根拠やメカニズムの説明無しに取り上げられています。ここでは、この説について過去に発表された論文をもとに、内陸地震の活発化の根拠やそのメカニズムの仮説を紹介するとともに、今回の地震がそのメカニズムからどのような意味を持つと言えるかに触れたいと思います。 まず、南海トラフ地震前後における内陸地震の活発化の根拠となっているのは、過去約千年間に歴史記録から読み取られた被害地震(近代以降についてはM6.
豪雨と温暖化と煮え切らない答え 2017年の梅雨末期は、立て続けに各地で豪雨が発生しました。 1. 7月5−6日九州北部の大雨(福岡県朝倉市で2日間総雨量586.0ミリ、気象庁によって平成29年7月九州北部豪雨と命名) 2. 7月17-18日新潟県の大雨(佐渡市両津付近で1時間に約110ミリ) 3. 7月22-23日秋田県の大雨(2日間総雨量300ミリ以上、雄物川が氾濫し、約2.5万人に避難指示) 4. 8月1日神奈川県の大雨(海老名市で神奈川県が設置した雨量計で1時間に120ミリ、各地の川で氾濫もしくは氾濫危険水位を上回り、県内で約10万人に避難勧告) 1日以上同じ場所で大雨が続いたり、ごく短時間に猛烈な雨が降ることで、現状の治水の限界を超えてしまうと、大きな被害につながってしまいます。このとき、多くの人から私達研究者に寄せられる疑問の一つが 「これらの豪雨は地球温暖化によるものなのか?
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